2024年03月26日

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3――運動実施頻度が週1日未満の人も多くが「運動不足」を感じている

ここまで、週1日以上の運動をしている人が運動をする理由を分析してきたが、冒頭でも紹介したとおり、そもそも週1日以上の運動をしているのが、18~64歳のおよそ半数にとどまる。運動をまったくしていない、あるいは週1日(年51~100日)未満の人は、自身の運動についてどのように感じているのだろうか。
図表4 運動実施頻度別運動不足を感じている割合 同調査では、普段、運動不足を感じるかも尋ねている。20~64歳では、全体の78.5%が「大いに感じる」または「ある程度感じる」と回答していた(図表4)。運動不足を感じる割合は、実施頻度によって異なり、「やっていない/わからない」「年に1~3日/頻度不明」「3か月に1~3日/月に1~3日」では、「大いに感じる」と回答した割合が半数程度となった。

運動を実施しない理由は20~64歳で、「仕事や家事が忙しいから」「面倒くさいから」「年をとったから」「運動・スポーツが嫌いだから」「お金に余裕がないから」等となっていた(図表略)。

4――運動習慣をもつために

4――運動習慣をもつためには、心身への効果への期待、自分なりの目標を持つこと、楽しみを見出すことが重要

現在、「運動不足」を感じている人は、運動実施頻度によって差があるものの全般的に高く、全体で8割程度を占める。しかし、その中で、週1日程度の運動をしているのは全体の半数にとどまっていた。また、「健康日本21(第三次)」で国が推奨する1回30分以上の運動を週2日以上実施していたのは、全体の24.8%、それが1年以上継続していたのは全体の22.2%であり、週1日以上の運動を実施していても、それが週2日になったり、1回の運動時間を30分以上としたり、さらにはその習慣を1年以上継続となると、半減してしまっていた。

週1日運動をしている人が、頻度や1回の運動時間の延ばし、30分以上の運動を週2日、さらにはそれを1年以上継続するためには、運動不足を解消するといった消極的な理由では難しく、より積極的な心身への効果を期待したり、運動によって自分なりの目標を持てること、また、楽しみ等を見出せることが重要なようだ。

20~64歳の運動習慣は、コロナ禍でいったん歯止めがかかったもののどちらかといえば悪化傾向にある2。2024年度から始まる「健康日本21(第三次)」の運動目標を達成するためには、これまで以上に運動実施の効果を周知し、運動を日々の生活の中に浸透させていくことが必要となるだろう。
 
2 村松容子「コロナ禍で運動習慣は定着したか?~運動実施・非実施の差が拡大」ニッセイ基礎研究所基礎研レポート(2024年3月)
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保険研究部   主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

村松 容子 (むらまつ ようこ)

研究・専門分野
健康・医療、生保市場調査

経歴
  • 【職歴】
     2003年 ニッセイ基礎研究所入社

(2024年03月26日「基礎研レポート」)

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