2024年03月15日

コロナ禍で運動習慣は定着したか?~運動実施・非実施の差が拡大

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子

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■要旨

運動習慣が健康の維持・増進に良いことが知られている。しかし、国が定める"運動習慣"がある人の割合は、横ばいか、やや悪化していることが課題となっている。現役世代においては、仕事や家事が忙しく、運動するための時間がとれないことが理由の1つとなっている。

2020年以降は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために、不要不急の外出の自粛が呼びかけられ、休校になった子どもや、在宅勤務になった就労者が多かった。通学や通勤のための外出機会すら減り、運動不足を自覚する人が増え、「コロナ太り」などの言葉が生まれたほか、子どもの運動不足や体力低下が懸念されるようになった1

こういった生活の中、改めて健康習慣や運動習慣の見直しを行ったり、自分で時間をコントロールできるようになったことで運動を始めた人もいたようだ。少人数制やオンラインによる筋トレ・フィットネスへの関心が高まったほか、2020年にはランナー人口が過去最多となった2という。

コロナ禍を経て、運動習慣は定着したのだろうか。
 
1 日本経済新聞(2021年4月25日)「子どもの体力、二極化進む恐れ コロナ禍で運動機会減」等
2 日経ヴェリタス2023年2月23日「ランナー人口が過去最高、シューズなど関連製品も人気快走 ランニング・筋トレ市場(上)」によると、笹川スポーツ財団が2年に一度実施している調査で、ジョギングやランニングをする人口(年1回以上)は2020年に推計1055万人と過去最高を更新した。頻度を「月2回以上」に上げても724万人、「週1回以上」でも579万人で、いずれも過去最高となった。コロナ禍で宴席や旅行などの機会が減り、代わりに「走る」ことを楽しむ人が増えたことが一因とされている。


■目次

1――コロナ禍前~運動習慣がある割合は、2019年時点で、国の目標に達していない
2――コロナ禍前後の運動・スポーツ実施状況
  1|運動・スポーツ実施頻度~非実施者が増加したが、週5以上実施者の増加
  2|コロナ禍の影響
   ~2020年には就労者、若年、高収入層で運動増加。非就労者、高年齢、低収入層で
    運動減少。
  3|増えた理由・減った理由
   ~2020年には、コロナによるスポーツの必要性に対する意識の変化で運動増減。
    仕事が忙しくなくなったことで増加、場所や施設がないことで減少
3――成人でも運動実施・非実施が二極化している
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保険研究部   主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

村松 容子 (むらまつ ようこ)

研究・専門分野
健康・医療、生保市場調査

経歴
  • 【職歴】
     2003年 ニッセイ基礎研究所入社

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