2013年07月18日

再びドル高に挑戦 ~マーケット・カルテ8月号

経済研究部 シニアエコノミスト   上野 剛志

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6月19日の米国連邦公開市場委員会(FOMC)以降、市場は落ち着きを取り戻している。バーナンキ議長が、条件付きながらQE3縮小・停止のスケジュールを示し、先行きの不透明感が緩和したためだ。この結果、直前に94円台まで円高が進んだドル円は100円付近まで戻し、安定感を取り戻している。依然FRB要人の発言に反応する場面はあるものの、市場は「年内のQE3縮小」、「開始時期は経済情勢次第」、「緩和状態は長期に継続」というメッセージを冷静に織り込みつつある。

従って、今後3ヵ月のドル円相場は、米緩和縮小を意識した緩やかな円安ドル高基調となる可能性が高い。本邦貿易赤字の継続に加え、参院選後にデフレ脱却に向けた政策実行期待が高まることも円安をサポートするだろう。ユーロドルについてもドル高を受けて弱含むとみるが、9月の独総選挙後は欧州統合深化への期待からユーロが底堅さを増す可能性が高い。ユーロ円では円安ユーロ高となるだろう。

長期金利は、市場のボラティリティ低下に伴う債券需要回復が金利低下圧力として働くものの、景気回復期待の高まりや米金利上昇という金利上昇圧力がやや優勢となり、3ヵ月後の長期金利は現状比でやや高い水準になっていると予想する。

ただし、現状は楽観に浸れる段階にはない点に注意したい。FRBの対話・判断ミスや中国の金融問題緊迫化などのリスクシナリオが顕在化すれば、リスク回避の円高、金利低下が進行することになる。

(執筆時点:2013/7/18)

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上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融、日本経済

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