2012年03月30日

雇用関連統計12年2月~改善する労働需給と拡大する地域間のミスマッチ

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・失業率は前月から0.1ポイント低下の4.5%
・・ 労働需給の改善傾向が鮮明となるが、地域間のミスマッチが拡大

■introduction

総務省が3月30日に公表した労働力調査によると、12年2月の完全失業率は前月から0.1ポイント低下し4.5%となった。労働力人口が前月から23万人増えるなか、就業者数が29万人の増加となったため、失業者数は前月に比べ7万人の減少となった。
2月は労働市場への参加者が増えるなか、就業者がそれを上回る増加となったことで失業率が低下しており、非常によい内容と言えるが、1月はこれとは全く逆の動き(労働力人口:27万人減、就業者35万人減、失業者9万人増)となっていた。1月、2月を均してみれば雇用情勢は緩やかな改善傾向が続いていると判断される。
厚生労働省が3月30日に公表した一般職業紹介状況によると、12年2月の有効求人倍率は前月から0.02ポイント上昇し0.75倍となった(QUICK集計・事前予想:0.74倍、当社予想も0.74倍)。有効求人数が前月比2.1%と11ヵ月連続で増加する一方、有効求職者数が前月比▲0.2%と8ヵ月連続で減少した。有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.07ポイント上昇の1.27倍となった。新規求人数は前月比▲0.3%と5ヵ月ぶりに減少したが、新規求職申込件数が前月比▲5.8%の大幅減少となったことが新規求人倍率を大きく押し上げた。
新規求人数を地域別に見ると、直接の被災地である東北地方は、震災が発生した11年3月は大きく落ち込んだものの、4月以降は復旧、復興に向けた求人増を背景に全国を大きく上回る高い伸びを続けており、12年2月は前年比47.2%(全国:同16.3%)となった。
一方、東北地方の新規求職申込件数は震災後の11年4月、5月は急増したものの、その後は減少傾向が続き、12年2月は前年比▲11.6%の大幅な減少となった。この結果、2月の就職件数(季節調整値)は前月比▲4.3%の減少となり、充足率(新規求人数に対する就職件数の比率)も前月に比べ▲1.1ポイント低下した(1月:26.9%→2月:25.8%)。
労働需給は改善傾向が鮮明となっているが、企業が求めている地域に労働者が十分に集まらないという地域間のミスマッチが雇用伸び悩みの一因になっていると考えられる。

(2012年03月30日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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