- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 中国経済 >
- 中国のインフレと金融政策~景気減速とインフレの板ばさみの中で~
- 中国では、消費者物価が3ヵ月連続で6%を超えるなどインフレ懸念が高く、住宅価格は70都市全てで前年同月比上昇するなどバブル懸念も燻る中、欧米先進国では景気失速懸念が台頭、今後の消費者物価、住宅バブル、これらを受けた金融政策の行方が注目される。
- 8月の消費者物価は前年同月比6.2%上昇と、7月の同6.5%上昇と比べると上昇率は0.3ポイント鈍化したが、前月比でみると0.3%上昇しており、原料高や人件費高騰を背景とした物価上昇は止まっていない。昨年下期の物価上昇の反動というテクニカルな要因で、今年末にかけての消費者物価は上昇率が鈍化するとみられるが、インフレ懸念は払拭し切れない。
- 住宅バブルは、中国政府の住宅価格抑制策や中低所得者向け住宅の大量供給など需給両面に渡る対策の効果で、北京市や上海市のような大都市では沈静化の兆しもある。但し、地方都市では価格上昇が止まらず、購入制限の厳しい住宅からオフィス等へ資金が流れ始めた兆候もあり、実質金利が大幅マイナスの下では、バブル膨張を抑え切れそうにない。
- 一方、製造業PMIなど先行性が高いサーベイ調査が低下傾向を示すなど、中国経済には暗雲が立ち込めてきた。インフレ懸念を完全払拭する前に、景気減速の兆しが現れてきたことで、中国の金融政策は難しい舵取りを迫られている。今のところ中国人民銀行は物価上昇抑制に軸足を置くスタンスを堅持しており、当面は追加的金融引締めを実施する可能性も残るが、その後は景気減速に配慮して利上げを停止する可能性が高いだろう。
(2011年09月30日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ
三尾 幸吉郎
研究・専門分野
三尾 幸吉郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/07/30 | 図表でみる世界の人口ピラミッド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/04/05 | 不動産バブルの日中比較と中国経済の展望 | 三尾 幸吉郎 | 基礎研マンスリー |
2024/03/11 | Comparison of Real Estate Bubbles in China and Japan, and Prospects for the Chinese Economy | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レポート |
2024/02/22 | 米中対立下の中国リスク-事業内容によるブラック、ホワイト、グレー3分類とそれぞれの対策 | 三尾 幸吉郎 | 研究員の眼 |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年09月18日
日銀短観(9月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは1ポイント低下の12と予想、価格転嫁の勢いに注目 -
2024年09月18日
欧州経済見通し-景況感の回復に乏しく、成長は緩慢 -
2024年09月18日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その8)-リサージュ曲線・バラ曲線- -
2024年09月18日
貿易統計24年8月-円高、原油安で先行きの貿易赤字は縮小へ -
2024年09月18日
TikTokによる児童の個人情報違法収集事件-米国連邦政府による提訴
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【中国のインフレと金融政策~景気減速とインフレの板ばさみの中で~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
中国のインフレと金融政策~景気減速とインフレの板ばさみの中で~のレポート Topへ