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アンケート調査から読み解く物流施設利用の現状と方向性(2)~倉庫管理システムと冷蔵・冷凍機能を拡充。地震対策・電源確保と自動化が一層進む。従業員の健康配慮を重視。
金融研究部 上席研究員 吉田 資
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4.注目される設備の状況
「利用施設の標準的な災害対策設備」について質問したところ、荷主企業、物流企業ともに、「耐震構造」(荷主企業78%・物流企業83%)が最も多く、次いで「AED5」(同67%・65%)が多かった(図表-4)。
また、「今後、強化・拡充したい災害対策設備」について荷主企業に質問したところ、「免震構造」(57%)が最も多く、次いで「耐震構造」(55%)、「災害用自家発電機」(54%)、「予備電源」(50%)の順に多かった。物流企業では、「災害用自家発電機」(59%)が最も多く、次いで「耐震構造」(49%)、「予備電源」(46%)、「免震構造」(41%)の順に多かった。上位4項目は、荷主企業と同一であった。
東日本大震災等の災害時に、物流が滞った経験を持つ企業は多く6、また、今後発生が予想されている首都直下地震や南海トラフ巨大地震等において物流を停滞させないため、建物の地震対策および災害時の電源確保は、特に重視されている模様だ。
5 AED(自動体外式除細動器):心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器
6 国土交通省港湾局「東日本大震災による産業・物流機能への影響」2011年5月23日
政府は、人手不足等を背景に、物流施設の自動化を推進して、施設内作業の省力化や現場作業の負担軽減を進める方針を示している。
国土交通省「物流総合施策大綱(2021 年度~2025 年度)」では、「物流業務の自動化・機械化やデジタル化により、従来のオペレーションの改善や働き方改革などの効果を定量的に得ている事業者」の割合を2025 年度までに70%に高める目標を掲げている。また、国による自動化設備導入に対する支援制度(環境省「社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業」(国土交通省連携事業)[令和2年度~令和7年度])も開始されている。図表-5に、物流業務の工程と自動化機器の例を示した。上記の施策等の後押しを受けて、物流施設の自動機器導入が一層進むと予想される。
また、「今後、強化・拡充したい自動倉庫関連の設備」について、荷主企業に質問したところ、「ピッキング:ピッキングロボット」(56%)が最も多く、次いで「格納・保管:自動倉庫」(53%)、「無人フォークリフト」(52%)の順に多かった。物流企業では、「棚移動:自動搬送機(AGV)」(45%)と「ピッキング:ピッキングロボット」(45%)が最も多かった。
同様に、物流企業では、「棚移動:自動搬送機(AGV)」(24%・45%)、「ピッキング:ピッキングロボット」(8%・45%)、「仕分け:自動仕分け機」(12%・36%) を導入している施設は比較的少なく、今後拡充したいと考える企業が多い。物流企業では、棚移動・ピッキング・仕分けの工程の自動化を今後、進めたい模様だ。
(2025年03月17日「不動産投資レポート」)
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03-3512-1861
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
2025年7月より現職
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
吉田 資のレポート
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