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がん検診で「要精密検査」でも受診しない理由

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子
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1――はじめに
そこで、本稿では、2021年にニッセイ基礎研究所が実施した「がんの備えに対する意識調査」から、精密検査未受診者の状況を紹介する。
1 村松容子「がん検診で「要精密検査」は何%?」ニッセイ基礎研究所 基礎研レター(2025年2月12日)https://www.nli-research.co.jp/files/topics/81106_ext_18_0.pdf?site=nli
2 精検未受診者のほかに、それぞれの自治体が精密検査を受けたかどうか未把握である受診者がいる。
2――要精密検査受診状況
3 内閣府「がん対策に関する世論調査(令和5年7月調査)」等。
(https://survey.gov-online.go.jp/r05/r05-gantaisaku/2.html、2025年2月19日アクセス)
続いて、これまでに「要精密検査」の判定を受けたことがある人に、精密検査受診経験を尋ねた。 その結果、「指摘されてすぐに検査をした」は、最も高い乳がんで80%、最も低い胃がんでは66%と部位によって差があったが、「3か月以内に検査をした」を合わせると85~90%程度が、「半年以内に検査した」も合わせると、95%程度が、検査をしていた。図表2と比べると、精密検査を受けた人は多くなっていた。
要精密検査の判定を受けた年齢は尋ねていないため不明であるが、比較的罹患年齢が高い肺がんと、乳がん、子宮頸がんで「指摘されてすぐに検査をした」と回答した割合は高くなっており、図表2の高年齢層や女性で「速やかに受けると思う」の割合の高さと整合的だった。子宮頸がんでは、「すぐには検査しなかった」が5つの部位でもっとも高く、精密検査をすぐに受けた人とすぐには受けなかった人とに分かれたようだ。また、胃がんは、5つの部位でもっとも「すぐに検査した」の割合が低かった。
3――フォローアップのタイミングと方法
現在、国が推奨するがん検診は、スクリーニング検査であり、無症状の人を対象に、がんの疑いがある人を発見するものである。すなわち、がん検診を受けるときは、多くの人が、自分ががんである可能性を意識せずに受けており、要精密検査の判定を受けた場合についてまで想像が及んでいないと考えられる。
がん検診を推奨するときには、検査結果がいつごろ返ってきて、要精密検査の判定が出る割合はどの程度で、その場合はいつ頃、どうしたらいいのかについても周知しておくことで、必要があればスムーズに精密検査に進めるよう環境を整えていくことが重要だろう。
(2025年02月26日「基礎研レター」)

03-3512-1783
- 【職歴】
2003年 ニッセイ基礎研究所入社
村松 容子のレポート
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