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- 消費者物価(全国25年1月)-コアCPI上昇率は25年半ばまで3%前後で高止まりの公算
2025年02月21日
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1.総合指数の上昇率は2年ぶりの4%台

コロナ禍以降の累積的な伸びが反映され、24年1月から急上昇が続いていた外国パック旅行費が、その影響一巡により上昇率が大きく低下したが、ガソリン、灯油の上昇率が補助金縮小により大きく高まったこと、食料(生鮮食品を除く)の上昇ペースがさらに拡大したことが押し上げ要因となった。
生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比2.5%(12月:同2.4%)。生鮮食品の伸びが12月の前年比17.3%から同21.9%へ拡大したため、総合は前年比4.0%(12月:同3.6%)と23年1月以来(4.3%)、2年ぶりの4%台となった。
コアCPIの内訳をみると、電気代(12月:前年比18.7%→1月:同18.0%)、ガス代(12月:前年比7.8%→1月:同6.8%)の上昇率は若干縮小したが、補助金の縮小によりガソリン(12月:前年比0.7%→1月:同3.9%)、灯油(12月:前年比1.8%→1月:同6.3%)の上昇率が高まったことから、エネルギー価格の上昇率は12月の前年比10.1%からの同10.8%へ拡大した。
食料(生鮮食品を除く)は前年比5.1%(12月:同4.4%)と上昇率が前月から0.7ポイント拡大した。食料(生鮮食品を除く)は23年8月の前年比9.2%をピークに鈍化傾向が続いていたが、24年7月の前年比2.6%を底に6ヵ月連続で上昇率が高まった。米類の高い伸びが続いた(12月:前年比64.5%→1月:同70.9%)ことに加え、円安に伴う輸入物価の上昇が消費者物価に波及している。
内訳をみると、米類のほかに、ケチャップ(前年比12.6%)、チョコレート(同30.8%)、調理パスタ(同11.6%)、果実ジュース(同20.9%)などが前年比で二桁の高い伸びを続ける一方、前年の上昇率が高かった裏が出ることで、カップ麺(同▲3.5%)、卵(同▲4.5%)、食用油(同▲2.5%)など、下落する品目も増えており、食料の価格にはばらつきが見られる。

コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが0.86%(12月:0.80%)、食料(除く生鮮食品・外食)が0.96%(12月:0.95%)、その他財が0.70%(12月:0.47%)、サービスが0.68%(12月:0.78%)であった。
2.物価上昇品目数が2ヵ月連続で増加
3.コアCPI上昇率は当面3%前後で高止まり
コアCPI上昇率は2ヵ月連続で3%台となった。食料(生鮮食品)は24年7月の前年比2.6%を底に25年1月には同5.1%まで伸びを高めたが、川上段階にある飲食料品の輸入物価は前年比で二桁の伸びとなっていることを踏まえれば、消費者物価の食料の伸びはさらに高まる可能性が高い。
また、電気・都市ガス代の支援策は25年1月使用分(CPIヘの反映は2月)から再開(3月使用分まで)されるが、値引き額が24年夏に比べて小さいことから、エネルギー価格の上昇率は高止まりすることが見込まれる。コアCPI上昇率は、25年半ばまで3%前後で高止まりすることが予想される。
また、電気・都市ガス代の支援策は25年1月使用分(CPIヘの反映は2月)から再開(3月使用分まで)されるが、値引き額が24年夏に比べて小さいことから、エネルギー価格の上昇率は高止まりすることが見込まれる。コアCPI上昇率は、25年半ばまで3%前後で高止まりすることが予想される。
(2025年02月21日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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