2025年01月31日

雇用関連統計24年12月-女性の就業者数が5ヵ月連続で過去最高を更新

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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1.女性の就業者数が5ヵ月連続で過去最高を更新

完全失業率と就業者の推移 総務省が1月31日に公表した労働力調査によると、24年12月の完全失業率は前月から0.1ポイント低下の2.4%(QUICK集計・事前予想:2.5%、当社予想は2.4%)となった。

労働力人口が前月から14万人の増加となる中、就業者が前月から14万人増加し、失業者は前月から2万人減少の170万人(いずれも季節調整値)となった。10月からの3ヵ月で労働力人口は45万人、就業者は40万人増加した。失業率は横ばい圏で推移しているが、労働市場への参入が進むもとで就業者の増加が続いており、前向きな評価ができる。
就業者数は前年差57万人増(11月:同34万人増)と29ヵ月連続で増加した。男女別には、男性が前年差13万人増と2ヵ月連続で増加、女性は前年差43万人増と34ヵ月連続で増加した。女性の就業者数(季節調整値)は前月から16万人増の3116万人となり、5ヵ月連続で過去最高を更新した。
産業別・就業者数の推移/雇用形態別雇用者数
産業別には、製造業が前年差21万人減(11月:同36万人減)と3ヵ月連続、卸売・小売業が前年差9万人減(11月:同4万人減)と2ヵ月連続で減少したが、宿泊・飲食サービス業が前年差9万人増(11月:前年差10万人減)と2ヵ月ぶりに増加したほか、生活関連サービス・娯楽業(11月:前年差4万人増→12月:同8万人増)、医療・福祉(11月:前年差18万人増→12月:同34万人増)の増加幅が拡大した。
 
雇用者数(役員を除く)は前年に比べ63万人増(11月:同60万人増)と34ヵ月連続で増加した。雇用形態別にみると、正規の職員・従業員数が前年差66万人増(11月:65万人増)と14ヵ連続で増加したが、非正規の職員・従業員数が前年差4万人減(11月:同6万人減)と2ヵ月連続で減少した。

厚生労働省の「毎月勤労統計」では、パートタイム比率の上昇が続いているが、「労働力調査」では、雇用の正規化が大きく進んでいる。

2.有効求人倍率は前月から横ばい

有効求人倍率の推移 厚生労働省が1月31日に公表した一般職業紹介状況によると、24年12月の有効求人倍率は前月から横ばいの1.25倍(QUICK集計・事前予想:1.25倍、当社予想も1.25倍)となった。有効求人数(前月比▲0.2%)、有効求職者数(同▲0.2%)ともに前月から小幅な減少となった。

有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.01ポイント上昇の2.26倍となった。新規求人数が前月比2.2%の増加となり、新規求職申込件数(同2.0%)の伸びを上回った。
産業別新規求人数 新規求人数(原数値)は前年比▲3.7%(11月:同▲2.6%)と2ヵ月連続で減少した。産業別には、宿泊・飲食サービス業(11月:前年比▲12.2%→12月:同5.2%)、情報通信業(11月:前年比▲5.0%→12月:同9.3%)が増加に転じたが、運輸・郵便業(11月:前年比2.0%→12月:同▲6.1%)、卸売・小売業(11月:前年比0.9%→12月:同▲3.8%)が減少に転じ、建設業(11月:前年比▲4.4%→12月:同▲4.9%)、製造業(11月:前年比▲5.9%→12月:同▲7.6%)は前月から減少幅が拡大した。
 
 

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(2025年01月31日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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