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- 法人企業統計24年7-9月期-経常利益は7四半期ぶりに減少したが、設備投資は堅調を維持
2024年12月02日
1.経常利益は7四半期ぶりの減益
製造業は、売上高が24年4-6月期の前年比2.6%から同2.8%へと若干伸びが高まったが、売上高経常利益率が23年7-9月期の8.6%から7.1%に大きく悪化したことが収益の押し下げ要因となった。売上高経常利益率を要因分解すると、変動費が前年比5.0%と売上高の伸びを大きく上回ったことから、変動費要因が大幅なマイナスとなったことに加え、人件費要因が3四半期連続のマイナスとなった。
非製造業は、売上高の伸びが24年4-6期の前年比3.9%から同2.5%に鈍化したが、売上高経常利益率が23年7-9月期の5.6%から5.7%に改善したことが収益の押し上げ要因となった。人件費要因は4四半期連続のマイナスとなったが、変動費要因、減価償却費要因のプラスそれを打ち消した。
非製造業は、売上高の伸びが24年4-6期の前年比3.9%から同2.5%に鈍化したが、売上高経常利益率が23年7-9月期の5.6%から5.7%に改善したことが収益の押し上げ要因となった。人件費要因は4四半期連続のマイナスとなったが、変動費要因、減価償却費要因のプラスそれを打ち消した。
2.経常利益(季節調整値)は3四半期ぶりに減少したが、高水準は維持
経常利益を業種別に見ると、製造業は、情報通信機械(前年比77.0%)、業務用機械(同55.0%)、は大幅増益となったが、鉄鋼(同▲70.3%)、はん用機械(同▲24.2%)、生産用機械(同▲24.3%)、輸送用機械(同▲16.8%)が前年比二桁の大幅減益となった。
非製造業は、電気業(前年比▲28.2%)、建設業(同▲18.0%)、卸売・小売業(同▲12.1%)が減益となったが、サービス業(同64.3%)、物品賃貸業(同21.9%)、情報通信業(同10.8%)が大幅増益となり、全体として増益を確保した。
非製造業は、電気業(前年比▲28.2%)、建設業(同▲18.0%)、卸売・小売業(同▲12.1%)が減益となったが、サービス業(同64.3%)、物品賃貸業(同21.9%)、情報通信業(同10.8%)が大幅増益となり、全体として増益を確保した。
季節調整済の経常利益は前期比▲10.6%(4-6月期:同6.8%)と3四半期ぶりに減少した。製造業が前期比▲19.9%(4-6月期:同5.4%)、非製造業が前期比▲5.5%(4-6月期:同7.5%)といずれも3四半ぶりに減少した。
経常利益(季節調整値)は26.9兆円(4-6月期:30.1兆円)となった。過去最高となった4-6月期からは減少したが、過去4番目の高水準を維持している。また、売上高(季節調整値)は製造業(前期比0.5%)、非製造業(同0.2%)ともに2四半期連続で増加し、コスト増を販売価格に転嫁する動きは途切れていない。24年7-9月期は変動費が大幅に増加した製造業を中心に減益となったが、収益の改善傾向は維持されていると判断される。
経常利益(季節調整値)は26.9兆円(4-6月期:30.1兆円)となった。過去最高となった4-6月期からは減少したが、過去4番目の高水準を維持している。また、売上高(季節調整値)は製造業(前期比0.5%)、非製造業(同0.2%)ともに2四半期連続で増加し、コスト増を販売価格に転嫁する動きは途切れていない。24年7-9月期は変動費が大幅に増加した製造業を中心に減益となったが、収益の改善傾向は維持されていると判断される。
3.設備投資は堅調を維持
設備投資(ソフトウェアを含む)は前年比8.1%(4-6月期:同7.4%)と14四半期連続で増加し、前期から伸びが高まった。非製造業は前年比7.4%(4-6月期:同10.9%)と伸びが鈍化したが、製造業が前年比9.2%(4-6月期:同1.4%)と前期から伸びが加速した。
4.7-9月期・GDP2次速報は上方修正を予想
本日の法人企業統計の結果等を受けて、12/9公表予定の24年7-9月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.3%(前期比年率1.2%)となり、1次速報の前期比0.2%(前期比年率0.9%)から上方修正されると予想する。
設備投資は1次速報の前期比▲0.2%から同0.6%に上方修正されるだろう。
設備投資は1次速報の前期比▲0.2%から同0.6%に上方修正されるだろう。
設備投資の需要側推計に用いられる法人企業統計の設備投資(ソフトウェアを除く)は前年比9.5%(4-6月期:同9.1%)と14四半期連続で増加し、前期から伸びが高まった。法人企業統計ではサンプル替えや四半期毎の回答企業の差によって断層が生じるが、当研究所でこの影響を調整したところ、前年比13%程度と公表値よりも伸びが高くなった。また、金融保険業の設備投資(ソフトウェアを除く)は前年比2.9%(4-6月期:同27.9%)となった。
1次速報段階では、設備投資の需要側推計値は前年比9.9%となっていた。本日の法人企業統計の結果は設備投資の上方修正要因と考えられる。
また、民間在庫変動は1次速報で仮置きとなっていた原材料在庫、仕掛品在庫に法人企業統計の結果が反映され、1次速報の前期比・寄与度0.1%から同0.0%へ下方修正されるだろう。
その他の需要項目では、公的固定資本形成は9月の建設総合統計の結果が反映され、前期比▲0.9%から同▲1.2%へ下方修正されると予想する。
なお、12/9公表予定の24年7-9月期GDP2次速報では、23年度の年次推計値が併せて公表され、四半期の計数は24年1-3月期までが速報値から年次推計値に改定される。24年7-9月期の成長率は、法人企業統計を中心とした基礎統計の追加に加え、23年度の年次推計に伴う遡及改定の影響を受けるため、不確定要素が多いことを念頭に置いておく必要がある。
1次速報段階では、設備投資の需要側推計値は前年比9.9%となっていた。本日の法人企業統計の結果は設備投資の上方修正要因と考えられる。
また、民間在庫変動は1次速報で仮置きとなっていた原材料在庫、仕掛品在庫に法人企業統計の結果が反映され、1次速報の前期比・寄与度0.1%から同0.0%へ下方修正されるだろう。
その他の需要項目では、公的固定資本形成は9月の建設総合統計の結果が反映され、前期比▲0.9%から同▲1.2%へ下方修正されると予想する。
なお、12/9公表予定の24年7-9月期GDP2次速報では、23年度の年次推計値が併せて公表され、四半期の計数は24年1-3月期までが速報値から年次推計値に改定される。24年7-9月期の成長率は、法人企業統計を中心とした基礎統計の追加に加え、23年度の年次推計に伴う遡及改定の影響を受けるため、不確定要素が多いことを念頭に置いておく必要がある。
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(2024年12月02日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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