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- 消費者物価(全国24 年10 月)-コアCPI 上昇率は2 ヵ月連続で鈍化したが、12 月に は3%程度まで加速する見込み
2024年11月22日
1. コアCPI上昇率は前月から0.1ポイント縮小の2.3%
総務省が11月22日に公表した消費者物価指数によると、24年10月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比2.3%(9月:同2.4%)となり、上昇率は前月から0.1ポイント縮小した。事前の市場予想(QUICK集計:2.2%、当社予想も2.2%)を上回る結果であった。
食料(生鮮食品を除く)の上昇率が急拡大したが、昨年10月に補助金が半減された裏が出ることにより、電気・都市ガス代の上昇率が大きく低下したことがコアCPIを押し下げた。
生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比2.3%(9月:同2.1%)、総合は前年比2.3%(9月:同2.5%)であった。
コアCPIの内訳をみると、ガソリン(9月:前年比▲4.8%→10月:同▲0.4%)、灯油(9月:前年比▲4.6%→10月:同▲1.1%)の下落率は縮小したが、9月に続き「酷暑乗り切り緊急支援」で電気代、都市ガス代が押し下げられる中、昨年10月の補助金半減の裏が出たことから、電気代(9月:前年比15.2%→10月:同4.0%)、ガス代(9月:前年比7.7%→10月:同3.5%)の上昇率が大きく低下したことから、エネルギー価格の上昇率は前年比2.3%となり、9月の同6.0%から大きく縮小した。
食料(生鮮食品を除く)は前年比3.8%(9月:同3.1%)と上昇率が前月から0.7ポイント拡大した。食料(生鮮食品を除く)は23年8月の前年比9.2%をピークに鈍化傾向が続いていたが、24年7月の前年比2.6%を底に3ヵ月連続で上昇率が高まった。米類の上昇ペースがさらに加速(8月:前年比28.3%→9月:同44.7%→10月:同58.9%)したことに加え、円安に伴う輸入物価の上昇が消費者物価に波及している。
内訳をみると、米類のほかに、ケチャップ(前年比11.9%)、チューインガム(同16.2%)、果実ジュース(同29.8%)などが前年比で二桁の高い伸びを続ける一方、前年の上昇率が高かった裏が出ることで、麺類(同▲2.3%)、卵(同▲9.8%)、食用油(同▲6.2%)など、下落する品目も増えており、食料の価格にはばらつきが見られる。
外食は前年比2.9%(9月:同2.7%)と4ヵ月連続で上昇率が拡大した。中華そば(9月:前年比3.4%→10月:同3.8%)、ぎょうざ(9月:前年比5.6%→10月:同6.2%)、ハンバーグ(9月:前年比3.7%→10月:同4.0%)などが前月から伸びを高めた。
食料(生鮮食品を除く)の上昇率が急拡大したが、昨年10月に補助金が半減された裏が出ることにより、電気・都市ガス代の上昇率が大きく低下したことがコアCPIを押し下げた。
生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比2.3%(9月:同2.1%)、総合は前年比2.3%(9月:同2.5%)であった。
コアCPIの内訳をみると、ガソリン(9月:前年比▲4.8%→10月:同▲0.4%)、灯油(9月:前年比▲4.6%→10月:同▲1.1%)の下落率は縮小したが、9月に続き「酷暑乗り切り緊急支援」で電気代、都市ガス代が押し下げられる中、昨年10月の補助金半減の裏が出たことから、電気代(9月:前年比15.2%→10月:同4.0%)、ガス代(9月:前年比7.7%→10月:同3.5%)の上昇率が大きく低下したことから、エネルギー価格の上昇率は前年比2.3%となり、9月の同6.0%から大きく縮小した。
食料(生鮮食品を除く)は前年比3.8%(9月:同3.1%)と上昇率が前月から0.7ポイント拡大した。食料(生鮮食品を除く)は23年8月の前年比9.2%をピークに鈍化傾向が続いていたが、24年7月の前年比2.6%を底に3ヵ月連続で上昇率が高まった。米類の上昇ペースがさらに加速(8月:前年比28.3%→9月:同44.7%→10月:同58.9%)したことに加え、円安に伴う輸入物価の上昇が消費者物価に波及している。
内訳をみると、米類のほかに、ケチャップ(前年比11.9%)、チューインガム(同16.2%)、果実ジュース(同29.8%)などが前年比で二桁の高い伸びを続ける一方、前年の上昇率が高かった裏が出ることで、麺類(同▲2.3%)、卵(同▲9.8%)、食用油(同▲6.2%)など、下落する品目も増えており、食料の価格にはばらつきが見られる。
外食は前年比2.9%(9月:同2.7%)と4ヵ月連続で上昇率が拡大した。中華そば(9月:前年比3.4%→10月:同3.8%)、ぎょうざ(9月:前年比5.6%→10月:同6.2%)、ハンバーグ(9月:前年比3.7%→10月:同4.0%)などが前月から伸びを高めた。
サービスは前年比1.5%(9月:同1.3%)となり、上昇率は前月から0.2ポイント拡大した。
郵便料金が30年ぶりに値上げされ(消費税率引き上げ時を除く)、はがき(9月:前年比0.0%→10月:同34.9%)、封書(9月:前年比0.0%→10月:同17.0%)が大幅に上昇したほか、火災・地震保険料(9月:前年比2.7%→10月:同7.0%)、宿泊料(9月:前年比6.8%→10月:同7.7%)などが上昇率を高めた。
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが0.18%(9月:0.46%)、食料(除く生鮮食品・外食)が0.82%(9月:0.63%)、その他財が0.52%(9月:0.63%)、サービスが0.78%(9月:0.68%)であった。
郵便料金が30年ぶりに値上げされ(消費税率引き上げ時を除く)、はがき(9月:前年比0.0%→10月:同34.9%)、封書(9月:前年比0.0%→10月:同17.0%)が大幅に上昇したほか、火災・地震保険料(9月:前年比2.7%→10月:同7.0%)、宿泊料(9月:前年比6.8%→10月:同7.7%)などが上昇率を高めた。
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが0.18%(9月:0.46%)、食料(除く生鮮食品・外食)が0.82%(9月:0.63%)、その他財が0.52%(9月:0.63%)、サービスが0.78%(9月:0.68%)であった。
2.物価上昇品目数が2ヵ月ぶりに減少
3. コアCPI上昇率は11月から再加速し、12月には3%程度に
10月は電気・都市ガス代の上昇率縮小を主因として、コアCPI上昇率は鈍化したが、11月に「酷暑乗り切り緊急支援」の値引き単価が縮小され、12月には支援策が終了することから、電気・都市ガス代の上昇率が大きく高まる。政府は11月中にまとめる経済対策で、電気・都市ガス代の負担軽減策を25年1月使用分から再開(~3月)し、24年内としていたガソリン、灯油等に対する激変緩和策は補助を段階的に縮小し、24年12月から2ヵ月かけて価格上限を現在の175円から185円に引き上げるとしている。
コアCPI上昇率は足もとの2%台前半から、「酷暑乗り切り緊急支援」終了後の24年12月に3%程度まで急速に高まった後、電気・都市ガス代の支援策再開が見込まれる25年2月以降は鈍化するだろう。ただし、電気・都市ガス代の値引き額は24年夏に比べて小さいこと、ガソリン、灯油等の補助金額が縮減することから、コアCPI上昇率は25年度初めにかけて2%台後半で高止まりすることが予想される。
コアCPI上昇率は足もとの2%台前半から、「酷暑乗り切り緊急支援」終了後の24年12月に3%程度まで急速に高まった後、電気・都市ガス代の支援策再開が見込まれる25年2月以降は鈍化するだろう。ただし、電気・都市ガス代の値引き額は24年夏に比べて小さいこと、ガソリン、灯油等の補助金額が縮減することから、コアCPI上昇率は25年度初めにかけて2%台後半で高止まりすることが予想される。
<参考>
コロナ禍以降の消費者物価に影響を与えた政策としては、旅行需要の喚起を目的とした「Go To トラベル事業(20年7月~12月)」、「全国旅行支援(22年10月~23年7月)」、物価高対策として実施された「ガソリン、灯油等に対する燃料油価格激変緩和措置(22年1月~)」、「電気・ガス価格激変緩和対策(23年2月 ~)」が挙げられる。これらの政策は実施時には消費者物価の前年比上昇率を押し下げる一方、政策一巡後には押し上げる方向に働く。
これらの政策によるコアCPI上昇率への影響を試算すると、22年1月から約2年間にわたって押し下げ要因となっていたが、電気・都市ガス代の値引き額の縮小や政策の一時停止などにより、24年2月以降は押し上げ要因となっている。なお、「電気・ガス価格激変緩和対策」は24年5月使用分(6月請求分)でいったん終了した後、8月~10月使用分について「酷暑乗り切り緊急支援」が開始されたが、前年同月に比べて値引き額が縮小していることなどから、政策要因はコアCPIの前年比上昇率を押し上げる方向に働いている。
コアCPI上昇率は23年1月の前年比4.2%をピークとして大きく鈍化し、23年9月以降は2%台で推移しているが、種々の政策がなければ、ピークは22年12月の4.7%で、22年10月~23年4月まで7ヵ月にわたって4%台の高い伸びを続けていたと試算される 。
一方、政策要因を除いたコアCPI上昇率はピーク時からの鈍化ペースが公表値よりも速い。公表値のコアCPI上昇率は22年4月から2年半にわたり2%を上回っているが、政策要因を除いたコアCPI上昇率は24年4月(前年比1.8%)、9月(同1.8%)には2%を割り込んだ。(24年10月は同2.0%)。
消費者物価上昇率は様々な政策によって振れの大きな展開が続いているが、基調としては鈍化傾向が続いていると判断される。
これらの政策によるコアCPI上昇率への影響を試算すると、22年1月から約2年間にわたって押し下げ要因となっていたが、電気・都市ガス代の値引き額の縮小や政策の一時停止などにより、24年2月以降は押し上げ要因となっている。なお、「電気・ガス価格激変緩和対策」は24年5月使用分(6月請求分)でいったん終了した後、8月~10月使用分について「酷暑乗り切り緊急支援」が開始されたが、前年同月に比べて値引き額が縮小していることなどから、政策要因はコアCPIの前年比上昇率を押し上げる方向に働いている。
コアCPI上昇率は23年1月の前年比4.2%をピークとして大きく鈍化し、23年9月以降は2%台で推移しているが、種々の政策がなければ、ピークは22年12月の4.7%で、22年10月~23年4月まで7ヵ月にわたって4%台の高い伸びを続けていたと試算される 。
一方、政策要因を除いたコアCPI上昇率はピーク時からの鈍化ペースが公表値よりも速い。公表値のコアCPI上昇率は22年4月から2年半にわたり2%を上回っているが、政策要因を除いたコアCPI上昇率は24年4月(前年比1.8%)、9月(同1.8%)には2%を割り込んだ。(24年10月は同2.0%)。
消費者物価上昇率は様々な政策によって振れの大きな展開が続いているが、基調としては鈍化傾向が続いていると判断される。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年11月22日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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