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- 鉱工業生産24年9月-自動車工場の稼働停止が響き、7-9月期は2四半期ぶりの減産
2024年10月31日
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1.7-9月期は2四半期ぶりの減産
経済産業省が10月31日に公表した鉱工業指数によると、24年9月の鉱工業生産指数は前月比1.4%(8月:同▲3.3%)と2ヵ月ぶりに上昇し、事前の市場予想(QUICK集計:前月比1.0%、当社予想は同0.2%)を上回る結果となった。出荷指数は前月比2.3%と2ヵ月ぶりの上昇、在庫指数は前月比0.1%と2ヵ月ぶりの上昇となった。
9月の生産を業種別に見ると、半導体製造装置などの生産用機械は前月比▲1.7%の低下となったが、8月に台風10号の影響で工場の稼働を停止したことから前月比▲10.7%の大幅減産となった自動車が、挽回生産で同7.1%の高い伸びとなり、生産指数を大きく押し上げた。
24年7-9月期の生産は前期比▲0.4%と2四半期ぶりの減産となった(4-6月期:同2.7%)。業種別には、世界的な半導体需要の回復を受けて、電子部品・デバイスが前期比7.7%と4-6月期の同4.3%から伸びが加速し、電気・情報通信機械(4-6月期:前期比1.4%→7-9月期:同3.5%)も好調を維持した。一方、工場の稼働停止の影響が響き、自動車が前期比▲4.1%(4-6月期:同11.7%)と2四半期ぶりの減産となったほか、資本財が多く含まれる生産用機械(同▲5.6%)、汎用機械(同▲2.7%)が落ち込んだ。
9月の生産を業種別に見ると、半導体製造装置などの生産用機械は前月比▲1.7%の低下となったが、8月に台風10号の影響で工場の稼働を停止したことから前月比▲10.7%の大幅減産となった自動車が、挽回生産で同7.1%の高い伸びとなり、生産指数を大きく押し上げた。
24年7-9月期の生産は前期比▲0.4%と2四半期ぶりの減産となった(4-6月期:同2.7%)。業種別には、世界的な半導体需要の回復を受けて、電子部品・デバイスが前期比7.7%と4-6月期の同4.3%から伸びが加速し、電気・情報通信機械(4-6月期:前期比1.4%→7-9月期:同3.5%)も好調を維持した。一方、工場の稼働停止の影響が響き、自動車が前期比▲4.1%(4-6月期:同11.7%)と2四半期ぶりの減産となったほか、資本財が多く含まれる生産用機械(同▲5.6%)、汎用機械(同▲2.7%)が落ち込んだ。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は24年4-6月期の前期比0.5%の後、7-9月期は同▲3.9%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は24年4-6月期の前期比1.8%の後、7-9月期は同▲1.0%となった。
GDP統計の設備投資は24年4-6月期に前期比0.8%と2四半期ぶりに増加した。高水準の企業収益を背景に設備投資は持ち直しているが、7-9月期は伸びが鈍化することが見込まれる。
GDP統計の設備投資は24年4-6月期に前期比0.8%と2四半期ぶりに増加した。高水準の企業収益を背景に設備投資は持ち直しているが、7-9月期は伸びが鈍化することが見込まれる。

GDP統計の民間消費は、認証不正問題の影響緩和に伴う自動車販売の回復などから、24年4-6月期に前期比0.9%と5四半期ぶりの増加となった。7-9月期は6月に実施された所得税・住民税減税による押し上げ効果はあったものの、物価高の悪影響が続くなか、南海トラフ地震臨時情報や台風の接近・上陸を受けて、一部列車の運休、旅行のキャンセル、海水浴場の遊泳禁止などが相次ぎ、夏場の消費が下押しされたことから、伸びが大きく低下する可能性が高い。
2.生産は当面一進一退が続く見込み
製造工業生産予測指数は、24年10月が前月比8.3%、11月が同▲3.7%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(9月)、予測修正率(10月)はそれぞれ▲1.4%、0.6%であった。
予測指数を業種別にみると、工場の稼働停止からの挽回生産で9月に前月比5.8%となった輸送機械は、10月が前月比6.5%、11月が同▲1.1%と持ち直しが続く見込みとなっている。
一方、在庫調整の進展を受けて、好調に推移してきた電子部品・デバイスは10月が前月比0.7%、11月が同▲4.7%とやや弱めの生産計画となっている。
24年7-9月期の電子部品・デバイスの出荷・在庫バランス(出荷・前年比-在庫・前年比)は24.2%と5四半期連続のプラスとなったが、4-6月期の30.1%からプラス幅が縮小した。出荷は前年比8.9%と4-6月期の同0.8%から伸びを高めたが、在庫が前年比▲15.3%と4-6月期の同▲29.3%から低下幅が縮小した。生産の牽引役となってきた電子部品・デバイスは、ITサイクルのピークアウトから今後、回復ペースが鈍化する可能性がある。
予測指数を業種別にみると、工場の稼働停止からの挽回生産で9月に前月比5.8%となった輸送機械は、10月が前月比6.5%、11月が同▲1.1%と持ち直しが続く見込みとなっている。
一方、在庫調整の進展を受けて、好調に推移してきた電子部品・デバイスは10月が前月比0.7%、11月が同▲4.7%とやや弱めの生産計画となっている。
24年7-9月期の電子部品・デバイスの出荷・在庫バランス(出荷・前年比-在庫・前年比)は24.2%と5四半期連続のプラスとなったが、4-6月期の30.1%からプラス幅が縮小した。出荷は前年比8.9%と4-6月期の同0.8%から伸びを高めたが、在庫が前年比▲15.3%と4-6月期の同▲29.3%から低下幅が縮小した。生産の牽引役となってきた電子部品・デバイスは、ITサイクルのピークアウトから今後、回復ペースが鈍化する可能性がある。
24年9月の生産指数を10、11月の予測指数で先延ばしすると、24年10-12月期の生産は前期比6.1%の高い伸びとなる。しかし、実際の生産の伸びは計画を大きく下回る傾向があるため、現時点ではこの数字は当てにならない。鉱工業生産は増産と減産を繰り返しており、22年以降は2四半期続けて増産となったことがない。先行きについては、自動車の挽回生産が期待できるものの、中国向けを中心に輸出の低迷が続く公算が大きいこと、電子部品・デバイスの牽引力が弱まることから、当面は一進一退の動きが続くことが予想される。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年10月31日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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