2024年10月29日

雇用関連統計24年9月-女性の就業者数(季節調整値)が過去最高を更新、雇用の正規化も進む

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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1.失業率は前月から0.1ポイント低下の2.4%

完全失業率と就業者の推移 総務省が10月29日に公表した労働力調査によると、24年9月の完全失業率は前月から0.1ポイント低下の2.4%(QUICK集計・事前予想:2.5%、当社予想は2.6%)となった。

労働力人口が前月から12万人の減少となる中、就業者が前月から9万人減少し、失業者は前月から4万人減少の168万人(いずれも季節調整値)となった。
就業者数は前年差27万人増(8月:同42万人増)と26ヵ月連続で増加したが、前月から増加幅が縮小した。男女別には、女性は前年差43万人増と31ヵ月連続で増加したが、男性が前年差16万人減と4ヵ月ぶりに減少した。女性の就業者数は(季節調整値)前月から2万人増の3094万人となり、2ヵ月連続で過去最高を更新した。

産業別には、製造業が前年差19万人増(8月:同6万人増)、生活関連サービス・娯楽業が前年差11万人増(8月:同4万人増)と2ヵ月連続で増加したほか、宿泊・飲食サービス業が前年差1万人増(8月:同10万人増)と27ヵ月連続で増加したが、卸売・小売業が前年差2万人減(8月:同10万人増)と6ヵ月ぶりに減少した。
産業別・就業者数の推移/雇用形態別雇用者数
女性の雇用は正規化を伴いながら拡大 雇用者数(役員を除く)は前年に比べ24万人増(8月:同35万人増)と31ヵ月連続で増加した。雇用形態別にみると、正規の職員・従業員数が前年差59万人増(8月:22万人増)と11ヵ連続で増加したが、非正規の職員・従業員数が前年差34万人減(8月:同13万人増)と2ヵ月ぶりに減少した。

季節調整値では、女性の正規の職員・従業員数が1317万人と過去最高を更新し、正規雇用比率(役員を除く雇用者数に占める正規の職員・従業員数の割合)は47.8%と前月から0.6ポイント上昇した。高齢化の影響で男性の雇用は伸び悩んでいるが、女性の雇用は正規化を伴いながら順調に拡大している。

2.有効求人倍率は一進一退

有効求人倍率の推移 厚生労働省が10月29日に公表した一般職業紹介状況によると、24年9月の有効求人倍率は前月から0.01ポイント上昇の1.24倍(QUICK集計・事前予想:1.23倍、当社予想は1.24倍)となった。有効求人数が前月比0.1%と4ヵ月ぶりに増加する一方、有効求職者数が同▲0.1%と3ヵ月連続で減少した。
産業別新規求人数 有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.10ポイント低下の2.22倍となった。新規求人数が前月比0.6%と2ヵ月連続で増加したが、新規求職申込件数が同5.3%の大幅増加となったことが新規求人倍率の低下につながった。

新規求人数は前年比▲5.9%(8月:同▲6.5%)と2ヵ月連続で減少した。産業別には、情報通信業(前年比8.9%)は3ヵ月連続で増加したが、建設業(同▲7.4%)、製造業(同▲9.1%)、生活関連サービス・娯楽業(同▲13.3%)などは大幅な減少が続いている。
 
 

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(2024年10月29日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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