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- 鉱工業生産24年8月-自動車の下振れなどから、7-9月期は2四半期ぶりの減産へ
2024年09月30日
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1.8月の減産幅は市場予想を大きく上回る

8月の生産を業種別に見ると、世界的な半導体需要の回復を受けて、電子部品・デバイスは前月比2.2%と好調を維持したが、台風10号の影響で月末に工場の稼働を停止した自動車が前月比▲10.6%の大幅減産となったほか、無機・有機化学(同▲8.1%)電気・情報通信機械(同▲6.2%)、生産用機械(同▲4.6%)なども大きく落ち込んだ。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は24年4-6月期の前期比0.5%の後、7月が前月比7.0%、8月が同▲3.9%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は24年4-6月期の前期比1.8%の後、7月が前月比6.3%、8月が同▲6.6%となった。

消費財出荷指数は24年4-6月期の前期比4.7%の後、7月が前月比1.5%、8月が同▲3.4%となった。8月は耐久消費財が前月比▲5.5%、非耐久消費財が同▲0.2%となった。
GDP統計の民間消費は、認証不正問題の影響緩和に伴う自動車販売の回復などから、24年4-6月期に前期比0.9%と5四半期ぶりの増加となった。7-9月期は6月に実施された所得税・住民税減税による押し上げ効果はあるものの、南海トラフ地震臨時情報や台風の接近・上陸を受けて、一部列車の運休、旅行のキャンセル、海水浴場の遊泳禁止などが相次いだことが夏場の消費を下押ししたことから、伸びが鈍化する可能性が高い。
2.7-9月期は2四半期ぶりの減産へ
製造工業生産予測指数は、24年9月が前月比2.0%、10月が同6.1%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(8月)、予測修正率(9月)はそれぞれ▲5.6%、▲0.4%であった。
予測指数を業種別にみると、台風による工場の稼働停止の影響で8月に前月比▲7.9%の大幅減産となった輸送機械は、挽回生産から9月が前月比9.2%、10月が同5.9%と高い伸びが見込まれている。
一方、在庫調整の進展を受けて、好調に推移してきた電子部品・デバイスは8月が前月比0.5%、9月が同▲0.8%とほぼ横ばいの生産計画となっている。電子部品・デバイスの出荷・在庫バランス(出荷・前年比-在庫・前年比)は7月の41.7%から8月には29.5%へとプラス幅が縮小した。出荷の伸びが7月の前年比15.4%から同3.7%へと大きく低下した。生産の牽引役となってきた電子部品・デバイスは今後、回復ペースが鈍化する可能性がある。
予測指数を業種別にみると、台風による工場の稼働停止の影響で8月に前月比▲7.9%の大幅減産となった輸送機械は、挽回生産から9月が前月比9.2%、10月が同5.9%と高い伸びが見込まれている。
一方、在庫調整の進展を受けて、好調に推移してきた電子部品・デバイスは8月が前月比0.5%、9月が同▲0.8%とほぼ横ばいの生産計画となっている。電子部品・デバイスの出荷・在庫バランス(出荷・前年比-在庫・前年比)は7月の41.7%から8月には29.5%へとプラス幅が縮小した。出荷の伸びが7月の前年比15.4%から同3.7%へと大きく低下した。生産の牽引役となってきた電子部品・デバイスは今後、回復ペースが鈍化する可能性がある。
24年8月の生産指数を9月の予測指数で先延ばしすると、24年7-9月期の生産は前期比▲0.2%となる。自動車の挽回生産による上振れの可能性はあるものの、もともと実際の生産の伸びが計画を下回る傾向があることを踏まえれば、7-9月期は2四半期ぶりの減産となる公算が大きい。鉱工業生産は22年以降、増産と減産を繰り返しており、一進一退の状態から抜け出せずにいる。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年09月30日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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