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- 可処分所得を下押しする家計負担の増加~インフレ下で求められるブラケットクリープへの対応~
2025年01月17日
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■要旨
- 個人消費は持ち直しているものの、可処分所得の伸び悩みを主因として依然としてコロナ禍前の水準を下回っている。
- コロナ禍以降の実質可処分所得減少の主因は物価高であるが、税、社会負担を中心として家計負担が高まっていることも可処分所得の下押し要因となっている。
- 社会負担比率は1994年の13.5%から2023年の19.7%までほぼ一本調子で増加している。また、税負担比率は1994年の7.6%から2003年に5.8%まで低下した後、上昇傾向となり、2023年は7.4%となった。
- 家計の所得税額は給与を上回るペースで増えている。「民間給与実態統計調査」によれば、給与総額に占める所得税額の割合は2010年の3.86%から2023年には5.10%まで上昇した。各給与階級の税額割合が上昇していることに加え、税率が高い給与階級の給与所得者数の割合が高まっていることがその理由である。
- 所得税額が給与収入以上に伸びている理由としては、名目所得の増加によってより高い税率が適用される課税所得区分に移行することで、実質的な増税となる「ブラケットクリープ」が生じている可能性が考えられる。
- インフレや賃上げが定着しつつあるもとでは、ブラケットクリープによる実質的な税負担の増加がより深刻なものとなる可能性がある。物価や賃金の上昇に応じて各税率に対応する課税所得の区分を変更するなどの是正措置を講じることが不可欠と考えられる。
(2025年01月17日「Weekly エコノミスト・レター」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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