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- 補助金政策の問題点~高所得者ほど負担軽減額が大きくなる~
コラム
2023年09月19日
円安、原油高が再び進んでいることを受けて、政府は2023年9月までとしていた激変緩和措置(電気代、都市ガス代、ガソリン、灯油等の価格抑制策)を年末まで延長することを決定した。補助金を使った政府の対策は、物価高による家計の負担を和らげる効果がある一方で、様々な問題がある。
例としては、特定産業だけが救済されるという不公平が生じる(電力・ガス会社、石油元売り会社と同様にコスト増の影響を受けている食品会社には補助金が出ない等)、やめるタイミングが難しい、市場価格がゆがめられる、財政負担が膨らむ、などが挙げられる。
家計の立場から考えると、特定の品目に対して補助金を投入すると、それを使う人と使わない人の間に不公平が生じるという問題がある。たとえば、日常的に自動車に乗っている人はガソリン使用量が多いため、補助金による負担軽減額が大きくなるが、自動車を使わない人にとっては全く恩恵がない。補助金は政府部門から民間部門への所得移転を意味するが、その所得を稼ぐのは最終的には民間部門である。したがって、ある品目を対象にした補助金政策はそれを使用していない人から使用している人への所得移転をもたらしているにすぎないという見方もできる。
例としては、特定産業だけが救済されるという不公平が生じる(電力・ガス会社、石油元売り会社と同様にコスト増の影響を受けている食品会社には補助金が出ない等)、やめるタイミングが難しい、市場価格がゆがめられる、財政負担が膨らむ、などが挙げられる。
家計の立場から考えると、特定の品目に対して補助金を投入すると、それを使う人と使わない人の間に不公平が生じるという問題がある。たとえば、日常的に自動車に乗っている人はガソリン使用量が多いため、補助金による負担軽減額が大きくなるが、自動車を使わない人にとっては全く恩恵がない。補助金は政府部門から民間部門への所得移転を意味するが、その所得を稼ぐのは最終的には民間部門である。したがって、ある品目を対象にした補助金政策はそれを使用していない人から使用している人への所得移転をもたらしているにすぎないという見方もできる。
このように、現在行われている補助金政策には高所得者ほどその恩恵が大きくなるという問題がある。今回の物価上昇局面では、食料品の伸びが特に高く、その支出割合が高い低所得者層により厳しいものとなっている。こうした状況への対応として補助金政策は必ずしもふさわしいとは言えない。低所得者層により手厚い支援が可能な所得制限付きの給付金支給のほうが適切な政策と考えられる。
1 ほとんどの世帯が電気を利用していると考えられるが、家計簿に電気代の記入をしていない世帯があること、家賃等に電気代が含まれている世帯があること、自家発電の世帯があることなどから、購入世帯割合は100%を大きく割り込んでいる。
1 ほとんどの世帯が電気を利用していると考えられるが、家計簿に電気代の記入をしていない世帯があること、家賃等に電気代が含まれている世帯があること、自家発電の世帯があることなどから、購入世帯割合は100%を大きく割り込んでいる。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年09月19日「研究員の眼」)
![](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/45_ext_01_0.jpeg?v=1554184776)
03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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