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α世代がやってくる-α世代論をはじめる前に書いたゆるい読み物

生活研究部 研究員 廣瀬 涼
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1――アラサーのZ世代、中学生になるα世代
そして2024年現在、Z世代の上は28歳前後、α世代は14歳前後となったが、Z世代のなかにはいわゆるアラサーも増えてきており、所得も増え、結婚して、家庭をもって、仕事で役職につき始めるといった、それ以前の世代と同じライフコースに身を置くようになり、その前のY世代との価値観の差が縮まっているようにも見える。その結果、括りはZ世代だが、Z世代の特徴としてメディアで取り上げられるようなそれ以前の世代が理解できないような価値感を、同じZ世代でも理解できなくなっているケースもあるようだ。時間の経過に伴い、Z世代は、上はアラサー、下は中学生と社会的な位置づけが大きく変わってしまい、その価値観をお互い理解しろという方に無理があるのだ。
一方α世代は14歳前後となり、少しずつ市場においてもその存在感が増してきており、来年以降はZ世代だけではなくα世代についてのレポートも積極的に執筆できるだろう。今回のコラムでは、本格的な考察や分析ではなく、表面化し始めてきたα世代の興味深い消費行動の事例を紹介していきたいと思う。
1 廣瀬涼(2020)「ジェネレーションαの時代-Z世代の次を考える」研究員の眼2020/07/20
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=64985?site=nli
2 小々馬敦(2024)『新消費をつくるα世代』日経BP
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=64985?site=nli
3 Z世代同様、人によって定義が異なる
2――プログラミング・ネイティブ
1995年にWindows95が登場し、インターネットが我々の身近なものとなったことを機に、それ以前をデジタル・イミグラント、それ以降デジタル・ネイティブと呼んでいる。Z世代がデジタル・ネイティブならば、学校教育という身近な場所でプログラミングに触れていくα世代は、プログラミング・ネイティブと呼んでいいだろう。実際にプログラミングに詳しすぎる子どもたちも現れ始め、大人たちがその技術に脱帽しているといった話をしばしば耳にする。
3――スマートデバイスへの順応
今や日常でのスマホやタブレットの活用に留まらず、ショッピングモールの館内マップや、レストランでの注文もタッチする事がデフォルトになりつつあるが、このように「触れる事」が当たり前な環境に身を置いていると珍事が起きたりする。ある芸能人の子供の話だ。車を運転している最中ふとルームミラーを見ると、子どもが、親指と人差し指を開いたり閉じたりしており、理由を聞くと「遠くにある看板が良く見えないから」と返答したという。その子はタブレットとの接触を通じて、見にくくとも指を広げれば拡大(ズーム)できると思い込んでいたというのだ。知人の幼稚園教諭に話を聞くと、それに類似した行動が散見されるらしく、例えば絵本などを見ていて無意識にズームしようとし、タブレットではないことに気が付いてハッとした顔をしているのだという。
タッチパネルの話で言えばSNSで、子どもに3か月間で3度も液晶テレビを壊されたという投稿を目にした。その投稿に対して家電量販店員が今の子供は幼少期の頃からタブレットを触っているため、画面がある物は全部タッチできると思っており、それで反応がないと画面を強く押してしまうという意見を投稿していた。その子どもがその様な理由で壊したかは別として、スマートデバイスに順応していればしているだけ、スマートデバイス基準で行動に移しても仕方がないのかもと、思った次第だ。
4――さいごに
これだけ見てもα世代はずいぶん違うと感じたと思う。今後はα世代についてウオッチしながら、その行動について考察や分析を深めていきたい。
(2024年12月18日「研究員の眼」)

03-3512-1776
- 【経歴】
2019年 大学院博士課程を経て、
ニッセイ基礎研究所入社
・公益社団法人日本マーケティング協会 第17回マーケティング大賞 選考委員
・令和6年度 東京都生活文化スポーツ局都民安全推進部若年支援課広報関連審査委員
【加入団体等】
・経済社会学会
・コンテンツ文化史学会
・余暇ツーリズム学会
・コンテンツ教育学会
・総合観光学会
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