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気候変動:死亡率シナリオの作成-気候変動の経路に応じて日本全体の将来死亡率を予測してみると…
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
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回帰式には、時間項を設定する。一般に、死亡率は時間に応じた改善トレンドを有している。これには、死亡率に影響を与える医療技術や医薬品・医療機器等の進歩をはじめ、社会全体の健康増進意識の高まりや、健康診断等の予防医療の普及。住居や職場等の衛生環境の改善。禁煙・節酒を含む、食生活バランスの見直し。適度な運動等により体を動かすことや、適切な休息・睡眠をとることが重要性であることの認識の浸透など、さまざまな時間的要因が寄与しているものと考えられる。
回帰式に時間項を設定することで、気候変動の要因とは別に、死亡率に改善のトレンドを与える要素を反映して、説明力を高めることが可能となる。
以上の検討の結果、回帰式は、次の通りとなった。

ここで、回帰式中の各記号について、まとめておく。

左辺の「死亡率」と、右辺の「変数」には、2009-10, 12-19年(10年分)の1月~12月の実績データを入力する。そして、重回帰分析を通じて、「係数」の値を求めていく。
ダミー変数については、地域区分(Da1~Da10)と月(Dm1~Dm11)の2種類のものを用いる。
このうち、Da1~Da10については、北海道はDa1のみ1。東北はDa2のみ1。関東甲信はDa3のみ1。北陸はDa4のみ1。東海はDa5のみ1。近畿はDa6のみ1。中国はDa7のみ1。四国はDa8のみ1。九州北部はDa9のみ1。九州南部・奄美はDa10のみ1。それ以外はすべて0とする。
また、Dm1~Dm11については、1月はDm1のみ1。2月はDm2のみ1。3月はDm3のみ1。4月はDm4のみ1。5月はDm5のみ1。6月はDm6のみ1。7月はDm7のみ1。8月はDm8のみ1。10月はDm10のみ1。11月はDm11のみ1。それ以外はすべて0とする。(Dm9およびdm9は無し。)
2つの回帰式において、定数と、地域区分ダミー、月ダミーにより、気候指数以外の、地域区分や月の違いにともなう死亡率の違いを表すこととなる。
回帰式には、地域区分として11の区分がある。このため、暑熱期の回帰式には10×11×5の550個の実績データ、それ以外の時期の回帰式には10×11×7の770個の実績データがあることとなる。30
29 回帰計算にあたり、統計ソフトとして、IBM SPSS Statistics バージョン29.0.1.0 を使用した。
30 ただし、一部の月では、実績データが欠落している場合がありうる。さらに、若齢では、異常無(老衰等)の死因で、死亡率がゼロとなり、ロジット変換できない場合もありうる。こうしたデータがないものや、ロジット変換できないものが出現した場合は、それを除外して回帰分析の作業を進めている。
10|2010年代以降、実績と回帰は概ね近接している
以上の設定のもとで回帰式を作成して、男性と女性の80-84歳と90-94歳の死亡率について死因別にグラフに示したものが次ページ以降の図である。ここでは、日本全国の死亡率の推移を示している。
いずれのグラフにおいても、2010年代以降、実績と回帰は概ね近接していると言える。したがって、死亡率の将来予測に、作成した回帰式を用いることは特段問題ないものと考えられる。
(2024年12月24日「基礎研レポート」)
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