2022年12月28日

気候変動指数の地点拡大-日本版の気候指数を拡張してみると…

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也

文字サイズ

■要旨

気候変動問題に対する注目が高まりを見せている。温室効果ガスの排出に伴う地球温暖化により、台風、豪雨、熱波、干ばつなど、地球環境にさまざまな影響がもたらされていることが背景にある。

ただ、その極端さを数量的に把握することは簡単ではない。そこで、気候変動の状況を指数化して、その動きを把握しようとする取り組みが、北米やオーストラリアのアクチュアリーの間で始まっている。ヨーロッパでも、検討が進められている。2022年9月8日の基礎研レポートでは、それらを紹介するとともに、同様の指数の日本版の作成を試みている。

本稿では、その日本版の指数について、観測地点を増やして拡張することに取り組んでみたい。

■目次

はじめに
1――気候指数の目的
  1|気候指数には慢性リスク要因の定量化が求められる
  2|前回は地域区分の設定は検討課題として残した
  3|今回は指数の有用性をみるために観測地点の数を増やす
2――地域区分の設定
  1|日本では大きな気候区分の違いをもとに設定することは非現実的
  2|地理教科の気候区分は気候指数の地域区分には用いにくい
  3|気象庁の気候区分をもとに地域区分を設定
3――観測地点の拡充
  1|2つの条件を踏まえて地点を拡大
  2|気象庁が採用している観測地点を活用する
  3|海面水位指数は気象庁のデータがない地点については作成しない
4――気候指数の動向
  1|11都市平均では、合成指数が0.96、高温の指数が1.69まで上昇
  2|15地点平均では、合成指数が0.97、高温の指数が1.44まで上昇
  3|高温の指数の差はヒートアイランド現象の影響?
5――おわりに (私見)
(参考) 11都市と15地点の気候指数の推移
  1|11都市では、鹿児島、横浜、大阪の合成指数が高かった
  2|15地点では、浜田、境、銚子、石垣島の合成指数が高かった
Xでシェアする Facebookでシェアする

保険研究部   主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員

篠原 拓也 (しのはら たくや)

研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務

経歴
  • 【職歴】
     1992年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所へ

    【加入団体等】
     ・日本アクチュアリー会 正会員

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【気候変動指数の地点拡大-日本版の気候指数を拡張してみると…】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

気候変動指数の地点拡大-日本版の気候指数を拡張してみると…のレポート Topへ