2021年03月09日

気候変動と環境リスク-異常気象は保険会社にどのようなリスクをもたらすか?

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也

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■要旨

気候変動が、グローバルなリスクとして認識されるようになって久しい。温室効果ガスによる地球温暖化をはじめ、極度の異常気象、頻発する自然災害など、さまざまな環境リスクが注目されている。

そうしたなかで、アメリカのアクチュアリー会は、気候変動と環境リスクに関するペーパーを公表した。本稿では、このペーパーをもとに、気候変動と保険への影響について、みていくこととしたい。

■目次

1――はじめに
2――気候変動の状況
  1|自然災害の発生件数と、それに伴う損害額が増加している
  2|温暖化が進み、海面上昇や海水循環の減速が予測されている
  3|北米のアクチュアリー会は気候指数を公表している
3――気象関連の直接的な健康への影響
  1|異常気象は頻繁に起こるようになる
  2|死亡リスクは過度な高温状態では、温度が上がると急速かつ非線形に上昇する
4――気象関連の間接的な健康への影響
  1|害虫による作物被害や、媒介生物の繁殖による病気の蔓延が増加
  2|花粉アレルギーや大気汚染などにより喘息が増加
  3|洪水、旱魃、山火事に伴う疾患が蔓延
  4|精神的な苦痛が増大する可能性もある
5――気候変動が人間環境や社会基盤に与える影響
  1|サーモカルスト湖の洪水が深刻化
  2|降水量不足により水力発電や運河航行に支障も
  3|作物の受粉が滞って作物被害が生じる可能性も
  4|海洋でも酸性度の上昇、酸素の欠乏、海流循環の変化など、さまざまな影響が考えられる
6――気候変動に伴う賠償責任リスク
  1|気候変動の原因分析が進められている
  2|気候変動関連の訴訟は増加している
  3|気候変動関連訴訟は、州裁判所では被告企業敗訴のケースが多い
7――グリーンエネルギーへの移行
  1|化石燃料企業では、資産価値の低下によりモラルハザードが生じる懸念も
  2|洪水リスクがもたらす資産価値の低下が、保険金詐欺を惹起する可能性も
  3|新しい技術に対する保険が求められる
  4|保険が社会構造変化の契機となる可能性も
8――おわりに (私見)
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保険研究部   主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員

篠原 拓也 (しのはら たくや)

研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務

経歴
  • 【職歴】
     1992年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所へ

    【加入団体等】
     ・日本アクチュアリー会 正会員

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