2019年06月04日

アメリカの保険金詐欺の現状-保険金詐欺の抑止のために何が行われているか?

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也

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■要旨

アメリカでは、保険に関する詐欺の問題が続いている。すべての保険を合わせると、1年間に発生している詐欺の金額は、控えめにみても800億ドル(約8.8兆円)に達するといわれている。特に、損害保険では、毎年の保険金支払額のうち、約10%が保険金詐欺によるものとみられている。

本稿では、アメリカで起きている保険金詐欺の現状および対策を概観していく。それを通じて、日本の保険に対する示唆を得ることとしたい。

■目次

1――はじめに
2――保険金詐欺の現状
  1|アメリカでは、損害保険の分野で年間3兆円を超える規模の保険金詐欺が発生している
  2|アメリカでは、ほぼすべての州で保険詐欺罪が制定されている
  3|大半の州に詐欺局が設けられている
  4|保険会社は、保険金詐欺の検出のための新たなテクノロジーを活用している
3――自動車保険の保険金詐欺
  1|多額の保険料の徴収漏れが生じている
  2|加入者からの情報提供に誤りやウソがあることが多い
  3|ニューヨーク州では、無過失自動車保険により詐欺が誘発された
4――医療保険の保険金詐欺
  1|医療保険の詐欺に対する厳罰化が進んでいる
  2|予測分析を用いた詐欺の検出早期化が図られている
  3|詐欺犯罪グループの検挙も進められている
  4|詐欺を防ぐためのデータ共有化の組織がつくられている
5――保険金詐欺を抑止するテクノロジー
  1|テレマティックスは、運転データを集積し、保険金請求の適切性の確認に用いられる
  2|ドローンによる映像を活用して保険金詐欺を抑止することが期待されている
  3|運転免許読み取り装置で居場所を確認
  4|ソーシャルメディアを活用した詐欺の検出も進んでいる
  5|ビッグデータを用いたAIによる予測分析も犯罪の未然防止に役立てられる出
  6|IoTの普及により迅速な詐欺の発見が可能となる
6――おわりに (私見)
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保険研究部   主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員

篠原 拓也 (しのはら たくや)

研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務

経歴
  • 【職歴】
     1992年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所へ

    【加入団体等】
     ・日本アクチュアリー会 正会員

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