コラム
2024年11月12日

投資部門別売買動向(24年10月)~海外投資家は売り越し~

金融研究部 研究員 森下 千鶴

このレポートの関連カテゴリ

文字サイズ

10月の日経平均株価は、前半は堅調な米経済指標や日本の利上げ観測後退を背景にドル高円安が進行し、指数が上昇した。日経平均株価は9日に3万9,000円を超え、15日には3万9,910円まで上昇した。後半は、オランダの半導体製造装置メーカーASMLの低調な決算を受けて半導体株への懸念が高まったほか、衆議院選挙結果への不安から指数は下落し、25日には3万7,913円と前月末比でマイナス圏に沈む場面もあった。しかし、27日に投開票が行われた衆議院選挙後は、与党の過半数割れが織り込み済みとされ指数は再び上昇に転じ、月末は3万9,081円で終えた。このように日経平均株価が推移するなか、事業法人、個人が買い越す一方で、海外投資家、信託銀行が売り越した(図表1)。
図表1 主な投資部門別売買動向と日経平均株価の推移
2024年10月(9月30日~11月1日)の投資部門別の売買動向を見ると、事業法人は現物と先物の合計で8,293億円の買い越しと、最大の買い越し部門であった(図表2)。2024年1月から10月までの自社株買い設定金額(TOPIX構成銘柄)は13兆円を超えた。10月は他の投資部門の売買動向の金額が小さくなるなか、事業法人は継続的に自社株買いを実施し、月を通して指数を下支えしたようだ。
図表2 事業法人は41カ月連続買い越し
また、10月は個人も現物と先物の合計で948億円と小幅に買い越した(図表3)。
図表3 個人は小幅買い越し
一方、海外投資家は現物と先物の合計で10月に4,218億円の売り越しと、最大の売り越し部門であった(図表4)。内訳を見ると、現物は3,758億円の買い越しであったのに対し、先物は7,976億円の売り越しと先物を中心とした短期投資家の売りが目立った。ただし、現物についても10月第1~2週(9月30日~10月11日)は買い越していたが、10月第3~5週(10月15日~11月1日)は小幅ながら3週連続で売り越した。10月には国内で10月27日に投開票が行われた衆議院選挙結果に対する不安が徐々に高まったこともあり、海外投資家は10月中旬以降、積極的にリスクを取りにくい状況であったと思われる。
図表4 海外投資家は売り越し
また、10月は信託銀行も現物と先物の合計で2,714億円の売り越しだった(図表5)。
図表5 信託銀行も売り越し
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2024年11月12日「研究員の眼」)

このレポートの関連カテゴリ

Xでシェアする Facebookでシェアする

金融研究部   研究員

森下 千鶴 (もりした ちづる)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

経歴
  • 【職歴】
     2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
     2015年 ニッセイ基礎研究所入社
     2020年4月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【投資部門別売買動向(24年10月)~海外投資家は売り越し~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

投資部門別売買動向(24年10月)~海外投資家は売り越し~のレポート Topへ