コラム
2024年10月08日

投資部門別売買動向(24年9月)~信託銀行が大幅買い越し~

金融研究部 研究員 森下 千鶴

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9月の日経平均株価は、前半は米経済指標を受けて景気の先行き不透明感が高まった。米国の利下げ期待による円高の進行も嫌気され、日経平均株価は2日の3万8,700円から11日には3万5,619円まで7営業日連続で下落した。後半は、18日夜にFOMCで0.50%の利下げが決定されたが、米国経済のソフトランディング期待が高まったことから円安が進行し、日経平均株価は19日に3万7,155円まで上昇した。月末にかけては、27日の自民党総裁選を前に金融緩和路線を打ち出していた高市氏が優勢との見通しから日経平均株価は27日に3万9829円まで上昇した。しかし、決選投票の結果、金融所得課税強化に前向きな姿勢を示した石破氏が総裁に選出されたため、30日の日経平均株価は下落し、月末は3万7,919円で終えた。このように日経平均株価が推移するなか、信託銀行、事業法人が買い越す一方で、海外投資家、個人が売り越した(図表1)。
図表1 主な投資部門別売買動向と日経平均株価の推移
2024年9月(9月2日~27日)の投資部門別の売買動向を見ると、信託銀行は現物と先物の合計で1兆2,972億円の買い越しと、最大の買い越し部門であった。特に9月第4週(9月24日~27日)は、現物と先物合計で1兆3,003億円と大幅に買い越した。9月第4週は、9月26日の権利付き最終日や9月27日の権利落ち日を含んでおり、年金基金等の配当再投資に伴う買いが入ったことが理由と考えられる(図表2)。
図表2 2カ月連続の買い越し
また、9月は事業法人も現物と先物の合計で9,316億円の買い越しと40カ月連続で買い越した(図表3)。自社株買いの設定金額(TOPIX構成銘柄)は、2024年1月から9月までで12兆円に達している。
図表3 事業法人は40カ月連続買い越し
一方、海外投資家は現物と先物の合計で9月に3兆5,662億円の売り越しと、最大の売り越し部門であった。特に9月第2週(9月9日~13日)は、現物が1兆5,425億円と大幅に売り越された(図表4)。
図表4 海外投資家は大幅売り越し
また、9月は個人も現物と先物の合計で1,815億円の売り越しだった。8月同様に、9月も海外投資家と個人がともに売り越すという同方向の動きであった。ただし、週単位で見ると、海外投資家が9月を通して売り越していたのに対し、個人は日経平均株価が約2,000円下落した9月第1週(9月2日~6日)は買い越し、日経平均株価が約3,000円上昇した9月第3~4週(9月17日~27日)は売り越しと、逆張りの動きが健在であった(図表5)。
図表5 個人は2か月連続で売り越した
 
 

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(2024年10月08日「研究員の眼」)

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金融研究部   研究員

森下 千鶴 (もりした ちづる)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

経歴
  • 【職歴】
     2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
     2015年 ニッセイ基礎研究所入社
     2020年4月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)

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