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- インドネシア経済:24年7-9月期の成長率は前年同期比+4.95%~内需主導の安定成長続くも、1年ぶりの5%割れに
2024年11月05日
インドネシアの2024年7-9月期の実質GDP成長率1は前年同期比(原系列)4.95%増(前期:同5.05%増)と低下し、市場予想2の5%を下回る結果となった。
7-9月期の実質GDPを需要項目別に見ると、消費の伸び悩みが成長率低下に繋がった(図表1)。
民間消費は前年同期比4.91%増(前期:同4.93%増)と小幅に低下した。費目別に見ると、ホテル・レストラン(同6.61%増)と輸送・通信(同6.54%増)が堅調な伸びを維持した一方、食料・飲料(同4.27%増)や保健・教育(同4.18%増)、住宅設備(同3.68%増)が伸び悩んだ。
政府消費は前年同期比4.62%増となり、前期の同1.42%増から改善した。
総固定資本形成は前年同期比5.15%増(前期:同4.43%増)と上昇した。機械・設備投資(同11.17%増)が好調で、建設投資(同6.02%増)も堅調に拡大した。
純輸出は成長率寄与度が▲0.08%ポイント(前期:+0.37%ポイント)となり5四半期ぶりのマイナスとなった。まず財・サービス輸出は前年同期比9.09%増(前期:同8.18%増)と上昇した。輸出の内訳を見ると、財輸出(同8.23%増)とサービス輸出(同17.55%増)が揃って加速した。また財・サービス輸入も同11.47%増(前期:同7.79%増)と大きく伸びた。
7-9月期の実質GDPを需要項目別に見ると、消費の伸び悩みが成長率低下に繋がった(図表1)。
民間消費は前年同期比4.91%増(前期:同4.93%増)と小幅に低下した。費目別に見ると、ホテル・レストラン(同6.61%増)と輸送・通信(同6.54%増)が堅調な伸びを維持した一方、食料・飲料(同4.27%増)や保健・教育(同4.18%増)、住宅設備(同3.68%増)が伸び悩んだ。
政府消費は前年同期比4.62%増となり、前期の同1.42%増から改善した。
総固定資本形成は前年同期比5.15%増(前期:同4.43%増)と上昇した。機械・設備投資(同11.17%増)が好調で、建設投資(同6.02%増)も堅調に拡大した。
純輸出は成長率寄与度が▲0.08%ポイント(前期:+0.37%ポイント)となり5四半期ぶりのマイナスとなった。まず財・サービス輸出は前年同期比9.09%増(前期:同8.18%増)と上昇した。輸出の内訳を見ると、財輸出(同8.23%増)とサービス輸出(同17.55%増)が揃って加速した。また財・サービス輸入も同11.47%増(前期:同7.79%増)と大きく伸びた。
供給項目別に見ると、主に第三次産業が鈍化した(図表2)。
まず第三次産業は前年同期比5.89%増(前期:同6.29%増)と鈍化した。内訳を見ると、ホテル・レストラン(同8.33%増)やビジネスサービス(同7.93%増)、運輸・倉庫(同7.59%増)、情報・通信(同6.86%増)が堅調な伸びを続けた一方、構成割合の大きい卸売・小売(同5.49%増)や金融・不動産(同4.18%増)、行政・国防(同3.94%増)、教育(同2.51%増)が伸び悩んだ。
第二次産業は前年同期比5.16%増(前期:同4.64%増)と加速した。内訳を見ると、全体の2割を占める製造業(同4.72%増)や鉱業(同3.46%増)、建設業(同7.48%増)がそれぞれ改善した。一方、電気・ガス・水供給業(同4.64%増)が鈍化した。
第一次産業は前年同期比1.69%増(前期:同3.25%増)と低調だった。
1 2024年11月5日、インドネシア統計局(BPS)が2024年7-9月期の国内総生産(GDP)を公表した。
2 Bloomberg調査
まず第三次産業は前年同期比5.89%増(前期:同6.29%増)と鈍化した。内訳を見ると、ホテル・レストラン(同8.33%増)やビジネスサービス(同7.93%増)、運輸・倉庫(同7.59%増)、情報・通信(同6.86%増)が堅調な伸びを続けた一方、構成割合の大きい卸売・小売(同5.49%増)や金融・不動産(同4.18%増)、行政・国防(同3.94%増)、教育(同2.51%増)が伸び悩んだ。
第二次産業は前年同期比5.16%増(前期:同4.64%増)と加速した。内訳を見ると、全体の2割を占める製造業(同4.72%増)や鉱業(同3.46%増)、建設業(同7.48%増)がそれぞれ改善した。一方、電気・ガス・水供給業(同4.64%増)が鈍化した。
第一次産業は前年同期比1.69%増(前期:同3.25%増)と低調だった。
1 2024年11月5日、インドネシア統計局(BPS)が2024年7-9月期の国内総生産(GDP)を公表した。
2 Bloomberg調査
7-9月期GDPの評価と先行きのポイント
インドネシア経済は、今年2月に大統領選挙が実施されたため、選挙関連支出がGDPを押し上げる形となり、年前半の実質成長率が前年同期比5.07%と順調だった。しかし、今回発表された7-9月期の成長率は同4.95%と、1年ぶりの5%割れの結果で景気はやや減速していることが明らかとなった。
7-9月期の景気減速は消費の伸び悩みによる影響が大きい。民間消費は前年同期比+4.91%(前期:同+4.93%)と小幅に低下し、2期連続の5%割れだった。インドネシア中銀は2022年8月から今年4月にかけて段階的に金融引締めを実施し、政策金利(7日物リバースレポ金利)を6.25%まで引き上げるなど金融引き締めを続けたため、新車販売は昨年から前年割れが続くなど耐久財を中心に消費の勢いが弱まっている。また政府消費(前年同期比4.62%)は前期の同1.42%増から改善したものの、10月に発足した新政権への移行期のため伸び悩む結果となった。
一方、外需は改善した。世界的な需要の改善により石炭やニッケル、機械など主要輸出品の出荷が伸びて財貨輸出(前年同期比+9.09%)が加速した。また外国人観光客の流入によりサービス輸出(同+17.55%)の好調が続いた。なお4-6月期の外国人旅行者数は前年同月比+18.2%の393万人となり、概ねコロナ禍前の水準まで回復している(図表3)。また投資(同5.15%増)は3期ぶりに+5%台に加速した。大統領選挙が終わり、先行きの不透明感が緩和されて企業の投資意欲が回復したものとみられ、機械・設備投資を中心に持ち直した。また新首都の建設などで建設投資も順調に拡大した。
7-9月期の景気減速は消費の伸び悩みによる影響が大きい。民間消費は前年同期比+4.91%(前期:同+4.93%)と小幅に低下し、2期連続の5%割れだった。インドネシア中銀は2022年8月から今年4月にかけて段階的に金融引締めを実施し、政策金利(7日物リバースレポ金利)を6.25%まで引き上げるなど金融引き締めを続けたため、新車販売は昨年から前年割れが続くなど耐久財を中心に消費の勢いが弱まっている。また政府消費(前年同期比4.62%)は前期の同1.42%増から改善したものの、10月に発足した新政権への移行期のため伸び悩む結果となった。
一方、外需は改善した。世界的な需要の改善により石炭やニッケル、機械など主要輸出品の出荷が伸びて財貨輸出(前年同期比+9.09%)が加速した。また外国人観光客の流入によりサービス輸出(同+17.55%)の好調が続いた。なお4-6月期の外国人旅行者数は前年同月比+18.2%の393万人となり、概ねコロナ禍前の水準まで回復している(図表3)。また投資(同5.15%増)は3期ぶりに+5%台に加速した。大統領選挙が終わり、先行きの不透明感が緩和されて企業の投資意欲が回復したものとみられ、機械・設備投資を中心に持ち直した。また新首都の建設などで建設投資も順調に拡大した。
足元のインドネシア経済は国内需要が比較的弱く、10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.7%と、インフレ目標圏(前年同月比+1.5~3.5%)の中央値を下回って推移している(図表4)。インドネシア銀行(中央銀行)は9月の月例理事会(金融政策決定会合)で米国の利下げ転換に先行する形で金融緩和に踏み切り政策金利を0.25%引き下げている。金利の引き下げにより、消費者の購買力向上や企業活動の活性化を促す公算だ。
2025年度国家予算案では(10月に発足した新政権が目玉政策に掲げる)給食無償化など食料安全保障の予算を拡充(歳出は前年度比5.9%増)すると共に、財政赤字(対GDP比)は2.53%と24年度見通しの2.7%から圧縮した。また新政権の閣僚人事では、前政権の主要閣僚の多くが続投・横滑りとなっており、政策の継続性が意識されるものだった。政権移行は順調に進んだようだが、プラボウォ大統領の経済運営では歳出の拡大により財政規律が守られなくなると警戒する見方が根強い。今後の財政運営の行方に注目が集まる。
2025年度国家予算案では(10月に発足した新政権が目玉政策に掲げる)給食無償化など食料安全保障の予算を拡充(歳出は前年度比5.9%増)すると共に、財政赤字(対GDP比)は2.53%と24年度見通しの2.7%から圧縮した。また新政権の閣僚人事では、前政権の主要閣僚の多くが続投・横滑りとなっており、政策の継続性が意識されるものだった。政権移行は順調に進んだようだが、プラボウォ大統領の経済運営では歳出の拡大により財政規律が守られなくなると警戒する見方が根強い。今後の財政運営の行方に注目が集まる。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年11月05日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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