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- 2024年の米国個人年金販売額は2四半期連続で1000億ドル超え-じわりと存在感を増すRILA-
2024年11月05日
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1――はじめに
米国では65歳以上の人口が増え続けるという人口動態を背景に、老後の生活資金を一生涯にわたって年金の形で受け取りたい、しかし運用は元本を確保しつつ安定的に、といったニーズが増大している。
近年、上述のニーズに応じるものとして個人年金の中でも主に定額年金に資金が流入してきた。これを受け米国の個人年金販売額は、2023年に3,854億ドルに至り過去最高であった前年からさらに23%の増加を果たした。
しかし2024年以降は米国において金利の低下が予想される中、定額年金の販売が減速するため同年の個人年金販売額は前年比で減少するとの見方があった。
この保険・年金フォーカスでは、米国における生保・年金のマーケティングに関する代表的な調査・教育機関であるLIMRAが8月に公表した2024年上半期販売実績を中心に、米国個人年金市場の現状をお伝えしたい。
近年、上述のニーズに応じるものとして個人年金の中でも主に定額年金に資金が流入してきた。これを受け米国の個人年金販売額は、2023年に3,854億ドルに至り過去最高であった前年からさらに23%の増加を果たした。
しかし2024年以降は米国において金利の低下が予想される中、定額年金の販売が減速するため同年の個人年金販売額は前年比で減少するとの見方があった。
この保険・年金フォーカスでは、米国における生保・年金のマーケティングに関する代表的な調査・教育機関であるLIMRAが8月に公表した2024年上半期販売実績を中心に、米国個人年金市場の現状をお伝えしたい。
2――2024年上半期販売額実績
2024年第1四半期(2024年1月~3月)の個人年金販売額は1,067億ドル、同年第2四半期(2024年4月~6月)では1,099億ドルと、2四半期連続での1000億ドル超えを果たした。過去最高であり初の1000億ドル超えを果たした前年第4四半期(2023年10月~12月)の水準には届かなかったものの、同四半期から数えて3四半期連続で1000億ドル超えが現実のものとなった。
第1四半期と第2四半期を合計した2024年上半期では2,166億ドルと、前年上半期に比し20%の増加となった。これは上半期として過去最高記録となる。
その中で変額年金は2023年に前年比▲4%であったところ、2024年上半期は前年上半期比25%増と復調を果たした。登録指数連動年金(RILA)の貢献が大きいが、これについては次章で詳述したい。
一方、定額年金は2023年の前年比増加率(37%)と比較すれば減速したものの、2024年上半期でも前年上半期比18%の増加に至った。
その中で確定利付き据置定額年金は2024年上半期に837億ドルの販売実績を確保し、引き続き商品別の実額で最大となった。元本が保証されつつ銀行CDなどよりも高い金利を得られる魅力に変わりはなく、過去の確定利付き据置定額年金を解約して再投資する動きも強い。また、定額指数連動年金(FIA)も同年上半期に593億ドルと前年上半期比23%増となった。
詳細は図表1の通りとなる。
第1四半期と第2四半期を合計した2024年上半期では2,166億ドルと、前年上半期に比し20%の増加となった。これは上半期として過去最高記録となる。
その中で変額年金は2023年に前年比▲4%であったところ、2024年上半期は前年上半期比25%増と復調を果たした。登録指数連動年金(RILA)の貢献が大きいが、これについては次章で詳述したい。
一方、定額年金は2023年の前年比増加率(37%)と比較すれば減速したものの、2024年上半期でも前年上半期比18%の増加に至った。
その中で確定利付き据置定額年金は2024年上半期に837億ドルの販売実績を確保し、引き続き商品別の実額で最大となった。元本が保証されつつ銀行CDなどよりも高い金利を得られる魅力に変わりはなく、過去の確定利付き据置定額年金を解約して再投資する動きも強い。また、定額指数連動年金(FIA)も同年上半期に593億ドルと前年上半期比23%増となった。
詳細は図表1の通りとなる。
かねて金利の低下が不安視されながらも、実際に連邦公開市場委員会(FOMC)が0.5%の利下げを決定したのは9月中旬であって、上半期の定額年金販売に大きな影響を与えることはなかったようだ。先行きは利下げ継続とみられるものの、さらなる利下げ前に駆け込み需要的に契約が見込まれ、2024年の定額年金販売が大きく減速することはないとの楽観的な見通しもある。
尚、図表1に記された個別商品の概要については当レポート末尾の別表を参照いただきたい。
尚、図表1に記された個別商品の概要については当レポート末尾の別表を参照いただきたい。
3――RILAの動向
RILAの販売チャネルとしては、独立ブローカー・ディーラー(51%)と専属エージェント1(23%)が多数を占めている。
1 75%以上の時間を1社の商品の販売に費やすエージェント。一般に、保険会社が研修を行って監督し、オフィスを提供する。
1 75%以上の時間を1社の商品の販売に費やすエージェント。一般に、保険会社が研修を行って監督し、オフィスを提供する。
4――おわりに
(2024年11月05日「保険・年金フォーカス」)
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経歴
- 【職歴】
1990年 日本生命保険相互会社に入社。
通算して10年間、米国3都市(ニューヨーク、アトランタ、ロサンゼルス)に駐在し、現地の民間医療保険に従事。
日本生命では法人営業が長く、官公庁、IT企業、リース会社、電力会社、総合型年金基金など幅広く担当。
2015年から2年間、公益財団法人国際金融情報センターにて欧州部長兼アフリカ部長。
資産運用会社における機関投資家向け商品提案、生命保険の銀行窓版推進の経験も持つ。
【加入団体等】
日本FP協会(CFP)
生命保険経営学会
一般社団法人 アフリカ協会
一般社団法人 ジャパン・リスク・フォーラム
2006年 保険毎日新聞社より「アメリカの民間医療保険」を出版
磯部 広貴のレポート
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