- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 保険 >
- 欧米保険事情 >
- 米国における投資助言受託者規制再燃とFIA(定額指数連動年金)への批判-年金商品監督を州に任せたままでよいのか-
米国における投資助言受託者規制再燃とFIA(定額指数連動年金)への批判-年金商品監督を州に任せたままでよいのか-

保険研究部 主任研究員・気候変動リサーチセンター兼任 磯部 広貴
このレポートの関連カテゴリ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
米国民の退職後の資産を守る趣旨から、2023年10月31日、米国労働省はエリサ法における投資助言受託者の定義を実質的に拡大する規則案を公表した。同様の試みは過去にもあり、念頭に置かれている2つの取引のうち1つがFIA(定額指数連動年金)の販売である。
当該規則案が実現した場合、独立保険代理店を中心に多大なコンプライアンス上の実務負荷が生じ、実質的にはFIAの販売にブレーキをかけることになる。
ホワイトハウス声明は、バイデノミクスの一環として当該規則案は顧客の最善の利益にならない投資助言によるムダ手数料をなくすことを目的とし、また、FIAが連邦政府ではなく州の監督下にあることが顧客の保護を不十分にしてきたと批判している。
これに対し各州の保険当局から成るNAIC(全米保険監督官協会)は強く反発しており、当該規則案の成否は見通せない。たとえ葬られたとしても、しばらくすれば同様の議論が再燃すると思われる。
高齢化の進展に伴い長寿リスクへの関心は高まるばかりである。生涯保障を実現できる年金商品に注目が集まることは必然であり、その年金商品を監督するのが州のままでよいのかという視点も簡単に忘れ去られることはないだろう。
■目次
1――はじめに
2――昨年発表された労働省規則案
3――ホワイトハウス(バイデン政権)声明
4――州保険当局の反論
5――おわりに
(2024年02月06日「保険・年金フォーカス」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1789
- 【職歴】
1990年 日本生命保険相互会社に入社。
通算して10年間、米国3都市(ニューヨーク、アトランタ、ロサンゼルス)に駐在し、現地の民間医療保険に従事。
日本生命では法人営業が長く、官公庁、IT企業、リース会社、電力会社、総合型年金基金など幅広く担当。
2015年から2年間、公益財団法人国際金融情報センターにて欧州部長兼アフリカ部長。
資産運用会社における機関投資家向け商品提案、生命保険の銀行窓版推進の経験も持つ。
【加入団体等】
日本FP協会(CFP)
生命保険経営学会
一般社団法人 アフリカ協会
一般社団法人 ジャパン・リスク・フォーラム
2006年 保険毎日新聞社より「アメリカの民間医療保険」を出版
磯部 広貴のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/03/12 | 高額療養費制度を社会保険と呼べるのか-財源確保に向け社会保険の「ろ過」を提言- | 磯部 広貴 | 基礎研レター |
2025/02/19 | ロイズがコーヒーハウスだった頃-情報で結ばれた保険関係者- | 磯部 広貴 | 研究員の眼 |
2025/02/04 | マネジドケアの本分-ユナイテッドヘルスケアCEO射殺事件から- | 磯部 広貴 | 保険・年金フォーカス |
2025/01/07 | プロジェクト2025の気候変動へのスタンス-米国の気候変動対策はどうなっていくのか- | 磯部 広貴 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年03月14日
噴火による降灰への対策-雪とはまた違う対応 -
2025年03月14日
ロシアの物価状況(25年2月)-前年比で上昇が続き10%超に -
2025年03月14日
株式インデックス投資において割高・割安は気にするべきか-長期投資における判断基準について考える -
2025年03月13日
インド消費者物価(25年2月)~2月のCPI上昇率は半年ぶりの4%割れ -
2025年03月13日
行き先を探す“核の荷物”~高レベル放射性廃棄物の最終処分とエネルギー政策~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【米国における投資助言受託者規制再燃とFIA(定額指数連動年金)への批判-年金商品監督を州に任せたままでよいのか-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
米国における投資助言受託者規制再燃とFIA(定額指数連動年金)への批判-年金商品監督を州に任せたままでよいのか-のレポート Topへ