2023年06月13日

オバマケアの中のメディカル・ロスレシオ規制-米国医療保険はオバマケア以前に比し「儲からない」業界に-

保険研究部 主任研究員・気候変動リサーチセンター兼任 磯部 広貴

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■要旨

2010年3月、オバマ政権による米国の医療保障制度改革、通称オバマケアがスタートした。その内容の一つとして、我が国のオバマケアに関する論考では言及されることが少ないものの、民間の保険会社にメディカル・ロスレシオ規制が課された。
 
保険集団(契約)を区分した上でロスレシオ(給付金÷保険料)に基準値を設定し、実際のロスレシオが基準値より低い場合、保険会社は基準値までの差額を契約者など保険料負担者へ還付しなくてはならない。
 
実質的に保険会社の収益を制限する規制であり、保険料水準の決定や保険集団(契約)ごとの営業戦略など保険会社に難しい経営判断を強いてきた。
 
2023年の還付金額は全体で11億ドル(1,430億円)の見通しと報じられている。保険種別を問わず、我が国でも同様の規制が導入された場合、保険会社はどう動くであろうか。

■目次

1――はじめに
2――メディカル・ロスレシオ規制とは
3――これまでの推移と2023年の見通し
4――おわりに
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保険研究部   主任研究員・気候変動リサーチセンター兼任

磯部 広貴 (いそべ ひろたか)

研究・専門分野
内外生命保険会社経営・制度(販売チャネルなど)

経歴
  • 【職歴】
    1990年 日本生命保険相互会社に入社。
    通算して10年間、米国3都市(ニューヨーク、アトランタ、ロサンゼルス)に駐在し、現地の民間医療保険に従事。
    日本生命では法人営業が長く、官公庁、IT企業、リース会社、電力会社、総合型年金基金など幅広く担当。
    2015年から2年間、公益財団法人国際金融情報センターにて欧州部長兼アフリカ部長。
    資産運用会社における機関投資家向け商品提案、生命保険の銀行窓版推進の経験も持つ。

    【加入団体等】
    日本FP協会(CFP)
    生命保険経営学会
    一般社団法人アフリカ協会
    2006年 保険毎日新聞社より「アメリカの民間医療保険」を出版

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