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- 2024年の米国個人年金販売額は2四半期連続で1000億ドル超え-じわりと存在感を増すRILA-
2024年11月05日
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■要旨
2023年の米国における個人年金販売額は3,854億ドルと過去最高を更新した。人口動態として老後の備えを確保したい高齢者層が増えていく中、元本が保証される定額年金に資金が向かったためだが、金利の低下が予想される2024年には定額年金が減速するとともに個人年金全体でも前年比減少との見方があった。
しかし実際には2024年第1四半期(2024年1月~3月)に1,067億ドル、同年第2四半期(2024年4月~6月)に1,099億ドルと、2四半期連続で1000億ドル超えを果たした。同年上半期での2,166億ドルは上半期として過去最高記録となる。
金利の低下が不安視されながらも、連邦公開市場委員会(FOMC)が0.5%の利下げを決定したのは9月中旬であったことから、2024年上半期の定額年金販売に大きな影響を与えることはなかったようだ。
他方、2023年に前年比▲4%であった変額年金は、2024年上半期に前年上半期比25%増と復調を果たした。伝統的変額年金に比しリスク・リターンを抑制した登録指数連動年金(RILA)の貢献が大きい。その販売額実績は2023年第4四半期(2023年10月~12月)以降、伝統的変額年金を上回る状況が続いている。元本保証はないものの、安定して老後資金を確保したいというニーズを一定取り込んでの結果と思われる。
■目次
1――はじめに
2――2024年上半期販売額実績
3――RILAの動向
4――おわりに
2023年の米国における個人年金販売額は3,854億ドルと過去最高を更新した。人口動態として老後の備えを確保したい高齢者層が増えていく中、元本が保証される定額年金に資金が向かったためだが、金利の低下が予想される2024年には定額年金が減速するとともに個人年金全体でも前年比減少との見方があった。
しかし実際には2024年第1四半期(2024年1月~3月)に1,067億ドル、同年第2四半期(2024年4月~6月)に1,099億ドルと、2四半期連続で1000億ドル超えを果たした。同年上半期での2,166億ドルは上半期として過去最高記録となる。
金利の低下が不安視されながらも、連邦公開市場委員会(FOMC)が0.5%の利下げを決定したのは9月中旬であったことから、2024年上半期の定額年金販売に大きな影響を与えることはなかったようだ。
他方、2023年に前年比▲4%であった変額年金は、2024年上半期に前年上半期比25%増と復調を果たした。伝統的変額年金に比しリスク・リターンを抑制した登録指数連動年金(RILA)の貢献が大きい。その販売額実績は2023年第4四半期(2023年10月~12月)以降、伝統的変額年金を上回る状況が続いている。元本保証はないものの、安定して老後資金を確保したいというニーズを一定取り込んでの結果と思われる。
■目次
1――はじめに
2――2024年上半期販売額実績
3――RILAの動向
4――おわりに
(2024年11月05日「保険・年金フォーカス」)
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経歴
- 【職歴】
1990年 日本生命保険相互会社に入社。
通算して10年間、米国3都市(ニューヨーク、アトランタ、ロサンゼルス)に駐在し、現地の民間医療保険に従事。
日本生命では法人営業が長く、官公庁、IT企業、リース会社、電力会社、総合型年金基金など幅広く担当。
2015年から2年間、公益財団法人国際金融情報センターにて欧州部長兼アフリカ部長。
資産運用会社における機関投資家向け商品提案、生命保険の銀行窓版推進の経験も持つ。
【加入団体等】
日本FP協会(CFP)
生命保険経営学会
一般社団法人 アフリカ協会
一般社団法人 ジャパン・リスク・フォーラム
2006年 保険毎日新聞社より「アメリカの民間医療保険」を出版
磯部 広貴のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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