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2024年10月08日
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1―30年も資金余剰が続く企業部門、足元では余剰が再拡大
国全体の設備投資は将来期待が高まらないと進まない。また、実際に投資するか、しないかは、民間企業の選択であり、第一義的には経営者がリスクを取ることが必要になる。企業の設備投資を促すには、収益力の強化を求める株主などの圧力(ガバナンス)、市場の評価(プレッシャー)も不可欠である。
足元では、経済安全保障や環境・エネルギーなど、国が主導する問題が増えている。日本の安心・安全や技術力が評価される現状は30年ぶりの大チャンスが巡って来たと感じている。今求められるのは「リスクを取るための予見性」「中長期のビジョン」であり、政治が立ち止まれる状況ではない。
足元では、経済安全保障や環境・エネルギーなど、国が主導する問題が増えている。日本の安心・安全や技術力が評価される現状は30年ぶりの大チャンスが巡って来たと感じている。今求められるのは「リスクを取るための予見性」「中長期のビジョン」であり、政治が立ち止まれる状況ではない。
2―もうひとつ心配な家計部門の資金不足
3―好循環が実現した際の資金循環
好循環が実現すれば、家計は実質賃金がプラスになり、年後半からある程度の資金余剰をキープし、企業はもう一段の設備投資に踏み切ることで、資金不足主体へ動き出すと期待を込めて予想することができる。当然、企業の投資が増えて企業部門の資金過不足が赤字になれば、一般政府の資金余剰も見てくる可能性がある。一般政府の資金余剰は、政府部門が黒字であることを意味し、資金余剰を国債返済や将来投資に回せるようになる。
そうした場合、金融財政の正常化も、それに合わせたスピードで進めることが必要になる。日銀は、国債購入額縮小の具体的な計画を7月の決定会合で決めた。今後縮小部分すべてを金融機関が購入する訳にはいかない。つまり、財政赤字を補うために国債を発行し、日銀が消化するという、これまでのお金の流れは終了に向かう。家計、企業、政府、どの部門も変化する可能性がある局面であり、重要な時期に差し掛かっている。
そうした場合、金融財政の正常化も、それに合わせたスピードで進めることが必要になる。日銀は、国債購入額縮小の具体的な計画を7月の決定会合で決めた。今後縮小部分すべてを金融機関が購入する訳にはいかない。つまり、財政赤字を補うために国債を発行し、日銀が消化するという、これまでのお金の流れは終了に向かう。家計、企業、政府、どの部門も変化する可能性がある局面であり、重要な時期に差し掛かっている。
(2024年10月08日「基礎研マンスリー」)
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経歴
- ・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員
矢嶋 康次のレポート
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