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- 英国雇用関連統計(24年8月)-賃金上昇圧力がやや緩和
2024年09月11日
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1.結果の概要:失業率は4.1%に低下
9月10日、英国国家統計局(ONS)は雇用関連統計を公表し、結果は以下の通りとなった1。
【8月】
・失業保険申請件数2は前月(176.87万件)から2.37万件増の179.24万件となった(図表1)。
・申請件数の雇用者数に対する割合は4.7%となり、前月(同4.6%)から上昇した。
・給与所得者数3は前月(3037.8万人)から5.9万人減の3031.9万人となった。増減数は前月(▲0.6万人)から減少数が増加し、市場予想4(2.5万人)を下回った。
【7月(24年5-7月の3か月平均)】
・失業率は4.1%で前月(4.2%)から低下、市場予想(4.1%)と一致した(図表1)。
・就業者は3323.2万人で3か月前の3296.7万人から26.5万人増加した。増減数は市場予想(12.3万人)を上回り、前月(9.7万人)から増加した。
・週平均賃金は前年比4.0%で前月(4.6%)から低下、市場予想(4.1%)を下回った(図表2)。
1 労働力調査ベースの統計については、回答率の低下を受け、ONSでは開発中の公式統計という位置付けで公表されている。
2 求職者手当(JSA:Jobseekerʼs Allowance)、国民保険給付(National Insurance credits)を受けている者に加えて、主に失業理由でユニバーサルクレジット(UC)を受給している者の推計数の合算。なお、UCはJSAより幅広い求職手当てであり、失業者数を示す統計としては過大評価している可能性がある。このため、ONSは開発中の公式統計という位置付けで公表している。
3 歳入関税庁(HRMC)の源泉徴収情報を利用した統計。直近データは約85%のデータから推計。
4 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2.結果の詳細:賃金上昇圧力がやや緩和、給与所得者数も減少に転じる
まず8月のデータとして公表されている求人数および給与所得者数を確認すると、求人数が6-8月の平均で85.7万件となり、22年3-5月平均(130.4万件)をピークとした減少傾向が継続、コロナ禍直前のピーク(19年1月の85.9万件)を下回る水準まで低下した(図表3)。8月単月の求人数は84.5万件だった5。
給与所得者データは、8月の給与所得者数(速報値)が前月差で5.9万人減となった。なお、過去の数値は直近の変化数がやや悪化方向に改定され(7月が1.6万人→▲0.6万人、6月が1.4万人→▲1.3万人)、その結果3か月連続での給与所得者減少となった。産業別には幅広い業種で減少し、特に卸・小売業、専門サービス、居住・飲食業、製造業、医療サービスでの減少が目立った。8月の給与額(中央値)伸び率は前年同月比6.2%となり、7月(5.5%)から大幅に加速した。
給与所得者データは、8月の給与所得者数(速報値)が前月差で5.9万人減となった。なお、過去の数値は直近の変化数がやや悪化方向に改定され(7月が1.6万人→▲0.6万人、6月が1.4万人→▲1.3万人)、その結果3か月連続での給与所得者減少となった。産業別には幅広い業種で減少し、特に卸・小売業、専門サービス、居住・飲食業、製造業、医療サービスでの減少が目立った。8月の給与額(中央値)伸び率は前年同月比6.2%となり、7月(5.5%)から大幅に加速した。
労働時間は31.9時間(前年差0.3時間)、フルタイム労働者で36.6時間(同0.2時間)となった(前掲図表2)。名目賃金は前年比で4.0%となり、前月(4.6%)からさらに低下した。なお、足もとは昨年の医療部門の大幅賃上げによるベース効果で押し下げられている面がある(図表5)。ベース効果の影響が小さいボーナスを除く定期賃金伸び率では、前年比5.1%と前月(5.4%)から低下し、市場予想(5.1%)と一致した。同数値を3か月前比年率で見た賃金上昇の勢いは5.5%(前月6.6%)とやや減速した。実質ベースの伸び率は、ボーナス含みで前年比1.1%(前月1.6%)、ボーナスを除きで同2.2%(前月2.4%)となり、やや減速した。
処遇改善を求めたストライキは、7月は件数ベースで227件、労働損失日数で4.2万日となっており6月から減少したが、4月・5月と比較するとやや多い水準となっている(図表6)。
5 3か月平均のデータは季節調整値だが、単月データは未季節調整値のため季節性が除去されていないため留意が必要。
処遇改善を求めたストライキは、7月は件数ベースで227件、労働損失日数で4.2万日となっており6月から減少したが、4月・5月と比較するとやや多い水準となっている(図表6)。
5 3か月平均のデータは季節調整値だが、単月データは未季節調整値のため季節性が除去されていないため留意が必要。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年09月11日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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