2024年09月02日

ユーロ圏失業率(2024年7月)-失業率は再び低下し、過去最低値に

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:失業率は6.4%にやや上昇

8月30日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。

【ユーロ圏失業率(20か国、2024年7月、季節調整値)】
失業率は6.4%、市場予想1(6.5%)から下振れ、前月(6.5%)から低下した(図表1)
失業者は1199.0万人となり、前月(1110.4万人)から11.4万人減少した

(図表1)失業率と国別失業者数/(図表2)若年失業率(25才未満)と国別若年失業者数
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:イタリアの失業者が大幅減少

ユーロ圏(20か国)の7月の失業率は6.4%となり、統計データ公表以来の最低値を記録した。過去データは、過去最低値を記録していた4・5月分が6.4%から6.5%にやや悪化方向に改定されている。

失業者数は7月の前月差で11.4万人減となり、6月の0.3万人減に続く2か月連続の減少となった(6月は4.1万人増から0.3万人減に改定されている)。主要4か国で見ると、イタリア(▲10.7万人)、スペイン(▲1.3万人)、フランス(▲0.5万人)、ドイツ(0.0万人)となり、イタリアの失業減が目立った。また、スペインは6か月連続の失業者減となった。コロナ禍前より失業者数は75万人程度少なく、大半はスペインの失業者減少が寄与している(図表3)。

7月の若年失業率は14.2%となり、6月(14.4%)からやや低下した。なお、若年失業率は6月以前の過去データがやや悪化方向に改定されている(6月14.1%→14.4%、5月14.2%→14.6%、4月14.2%→14.5%等)。若年失業者数は7月で226.3万人(前月差▲3.7万人)となり6月(▲2.7万人)から2か月連続で減少した。若年失業者数の水準はコロナショック直前(20年3月の233.9万人)を下回る状態で推移している(図表4)。
(図表3)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化
国別の7月のデータを見ると、失業率は20か国中、悪化した国が6か国、改善が6か国、横ばいが8か国だった(図表5)。若年失業率は公表されている14か国中、悪化した国が4か国、改善が8か国、横ばいが4か国だった(図表6)。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは上述の通り失業者が大幅に減少する一方、雇用者と非労働力人口がともに増加した(図表7)。ポルトガルは失業者と雇用者数が減少し、非労働力人口が増加する形となっている(図表8)。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2024年09月02日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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