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- ユーロ圏消費者物価(24年8月)-総合は大幅低下だが、コアは横ばい
2024年09月02日
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1.結果の概要:総合指数は大幅低下、コア指数はほぼ横ばい
8月30日、欧州委員会統計局(Eurostat)は8月のユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。
【総合指数】
・前年同月比は2.2%、市場予想1(2.2%)と一致、前月(2.6%)から低下した(図表1)
・前月比は0.2%、予想(0.2%)と一致、前月(▲0.0%)からプラスに転じた
【総合指数からエネルギーと飲食料を除いた指数2】
・前年同月比は2.8%、予想(2.8%)と一致、前月(2.9%)から低下した(図表2)
・前月比は0.3%、前月(▲0.2%)からプラスに転じた
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。
2.結果の詳細:エネルギーの前年比伸び率が再びマイナスに
8月のHICP上昇率3(前年同月比)は全体で2.2%となり、7月(2.6%)から低下した。「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」も2.8%と7月(2.9%)からやや低下したが、低下幅は総合指数と比較して限定的だった。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が6月0.7%→7月0.7%→8月0.4%となった。「財」は7月に下げ止まりの兆しも見られたが、8月は低下している。一方、「サービス」(エネルギーを除く)は6月4.1%→7月4.0%→8月4.2%と4%前後の高めの水準での横ばい推移が継続している。前年同月比寄与度は、「財」が0.09%ポイント程度、「サービス」が1.74%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で6月0.2%→7月1.2%→8月▲3.0%と前年同月比伸び率でマイナスに転じた。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.37%ポイント程度と見られ、8月の総合指数の前年比伸び率低下の主因となった(前掲図表2)。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が6月0.7%→7月0.7%→8月0.4%となった。「財」は7月に下げ止まりの兆しも見られたが、8月は低下している。一方、「サービス」(エネルギーを除く)は6月4.1%→7月4.0%→8月4.2%と4%前後の高めの水準での横ばい推移が継続している。前年同月比寄与度は、「財」が0.09%ポイント程度、「サービス」が1.74%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で6月0.2%→7月1.2%→8月▲3.0%と前年同月比伸び率でマイナスに転じた。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.37%ポイント程度と見られ、8月の総合指数の前年比伸び率低下の主因となった(前掲図表2)。
「飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で2.4%(7月2.3%)とやや上昇、足もとでは横ばい圏での推移となっている(図表3)。内訳を見ると、飲食料のうち加工食品の伸び率は2.7%(7月2.7%)で横ばい、未加工食品は1.1%(7月1.0%)とやや上昇だった。飲食料の前年同月比寄与度は0.52%ポイント程度(7月は0.45%ポイント)と見られる。
物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると(図表4)、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が2.3%(7月2.1%)、コアが3.2%(7月3.2%)、エネルギーを除く財が0.9%(7月0.4%)、サービスが4.4%(7月4.9%)、飲食料が2.7%(7月1.8%)となった。総合指数の物価上昇の勢いは比較的安定しているが、内訳を見るとサービスでは減速しつつも、なお高水準を維持している。
物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると(図表4)、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が2.3%(7月2.1%)、コアが3.2%(7月3.2%)、エネルギーを除く財が0.9%(7月0.4%)、サービスが4.4%(7月4.9%)、飲食料が2.7%(7月1.8%)となった。総合指数の物価上昇の勢いは比較的安定しているが、内訳を見るとサービスでは減速しつつも、なお高水準を維持している。
国別のHICP上昇率は、前年同月比で20か国中、上昇したのは5か国、残りの15か国は低下した(図表5)。また、9か国が物価目標の2%を下回っている。なお、前月比では20か国中9か国がプラスの伸び率となった(図表6)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年09月02日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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