2024年08月02日

ユーロ圏失業率(2024年6月)-失業率はやや上昇も、依然として低水準

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:失業率は6.5%にやや上昇

8月1日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2024年6月、季節調整値)】
失業率は6.5%、市場予想1(6.4%)から上振れ、前月(6.4%)から上昇した(図表1)
失業者は1112.2万人となり、前月(1108.1万人)から4.1万人増加した

(図表1)失業率と国別失業者数/(図表2)若年失業率(25才未満)と国別若年失業者数
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:スペインでは5か月連続失業者減少

ユーロ圏(20か国)の6月の失業率は6.5%となり、統計データ公表以来の最低値だった5月(6.4%)からやや上昇した。なお、5月以前の過去データにはほぼ改定がなかった。

失業者数は6月の前月差で4.1万人増となり、前月(+3.4万人)に続き、2か月連続の増加となった。主要4か国で見ると、イタリア(2.3万人)、フランス(2.1万人)、ドイツ(0.1万人)、スペイン(▲1.1万人)となり、イタリア、フランスの失業増がやや多かった。なお、スペインは5か月連続の失業者減となった。コロナ禍前より失業者数は60万人強少ないが、大半はスペインの失業者減少が寄与している(図表3)。

5月の若年失業率は14.1%となり、5月(14.2%)からやや低下し、統計データ公表以来の最低値(23年2-4月の14.0%)に近づいた(前掲図表2)。なお、若年失業率も5月以前の過去データはほぼ改定されていない。若年失業者数は6月で227.0万人(前月差▲2.0万人)となり4月(+0.5万人)から減少に転じた。若年失業者数の水準はコロナショック直前(20年3月の234.7万人)を下回る状態で推移している(図表4)。
(図表3)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化
国別の6月のデータを見ると、失業率は20か国中、悪化した国が7か国、改善が4か国、横ばいが9か国だった(図表5)。若年失業率は20か国中、悪化した国が4か国、改善が9か国、横ばいが7か国だった(図表6)。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者と雇用者がともに増加し、非労働力人口が減少した(図表7)。ポルトガルは雇用者数が大幅に減少し、失業者と非労働力人口が増加した(図表8)。労働参加率はイタリアで高水準を維持、ポルトガルでは高水準ながらやや低下が目立つ格好となった。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2024年08月02日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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