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- ユーロ圏GDP(2024年4-6月期)-前期比0.3%で成長が継続
2024年07月31日
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1.結果の概要:2四半期連続で前期比0.3%
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想も同様
2.結果の詳細:ドイツは再びマイナス成長に落ち込む
ユーロ圏の24年4-6月期の成長率は前期比0.3%(年率換算1.0%)となり、1-3月期(前期比0.3%、年率1.1%)とほぼ同程度の成長率を達成した。実質GDPの水準はコロナ禍前(19年10-12月期)対比では3.9%、エネルギー価格が高騰した22年の夏(22年7-9月期)対比では0.7%となった。
経済規模の大きい4か国の伸び率を見ると、前期比ではドイツ▲0.1%(1-3月期0.2%)、フランス0.3%(1-3月期0.3%)、イタリア0.2%(1-3月期0.3%)、スペイン0.8%(1-3月期0.8%)となり、今回公表された他のユーロ圏加盟国を含め、多くの国は前期比プラスだったが、ドイツとラトビアはマイナス成長となった(図表3横軸、なおオーストリアは前期比0.0%)。前期比伸び率について、ドイツ統計局は機械設備投資と建設投資が落ち込んだと指摘、イタリア統計局は供給面では農林水産と工業が減少する一方、サービス業が増加、需要面では内需の寄与はプラスだったが純輸出の寄与がマイナスだったと指摘している(フランス・スペインは後述)。なお、前年同期比ではスペインの回復が進む一方で、ドイツ、アイルランド、ラトビアがマイナスであり(図表3縦軸)、コロナ禍からの回復具合ではオーストリア、ドイツの遅れが目立っている(図表4)。
経済規模の大きい4か国の伸び率を見ると、前期比ではドイツ▲0.1%(1-3月期0.2%)、フランス0.3%(1-3月期0.3%)、イタリア0.2%(1-3月期0.3%)、スペイン0.8%(1-3月期0.8%)となり、今回公表された他のユーロ圏加盟国を含め、多くの国は前期比プラスだったが、ドイツとラトビアはマイナス成長となった(図表3横軸、なおオーストリアは前期比0.0%)。前期比伸び率について、ドイツ統計局は機械設備投資と建設投資が落ち込んだと指摘、イタリア統計局は供給面では農林水産と工業が減少する一方、サービス業が増加、需要面では内需の寄与はプラスだったが純輸出の寄与がマイナスだったと指摘している(フランス・スペインは後述)。なお、前年同期比ではスペインの回復が進む一方で、ドイツ、アイルランド、ラトビアがマイナスであり(図表3縦軸)、コロナ禍からの回復具合ではオーストリア、ドイツの遅れが目立っている(図表4)。
次にフランスとスペインは各国統計局(フランス国立統計経済研究所(INSEE)、スペイン統計局(INE))がGDPの詳細を公表しているので、以下で確認する。
フランスの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費0.0%(前期▲0.1%)、政府消費0.3%(前期0.6%)、投資0.1%(前期▲0.4%)、輸出0.6%(前期0.7%)、輸入0.0%(前期▲0.3%)となった(図表5)。在庫変動の前期比寄与度は▲0.0%ポイント、純輸出の前期比寄与度は0.2%ポイントであり、主に輸出が成長をけん引した。産業別の付加価値は、工業が0.2%(前期0.7%)、建設業が▲1.0%(前期▲1.9%)、市場型サービス産業0.5%(前期0.4%)、非市場型サービス0.3%(前期0.3%)だった。建設業を除きプラス成長だが、工業の内訳を見ると、製造業(前期比▲1.1%)のマイナスだった一方、電気・ガス・水道(3.2%)が高めの伸びを記録するなど、バラツキも目立つ。
フランスの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費0.0%(前期▲0.1%)、政府消費0.3%(前期0.6%)、投資0.1%(前期▲0.4%)、輸出0.6%(前期0.7%)、輸入0.0%(前期▲0.3%)となった(図表5)。在庫変動の前期比寄与度は▲0.0%ポイント、純輸出の前期比寄与度は0.2%ポイントであり、主に輸出が成長をけん引した。産業別の付加価値は、工業が0.2%(前期0.7%)、建設業が▲1.0%(前期▲1.9%)、市場型サービス産業0.5%(前期0.4%)、非市場型サービス0.3%(前期0.3%)だった。建設業を除きプラス成長だが、工業の内訳を見ると、製造業(前期比▲1.1%)のマイナスだった一方、電気・ガス・水道(3.2%)が高めの伸びを記録するなど、バラツキも目立つ。
スペインの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費0.3%(前期0.4%)、政府消費▲0.2%(前期▲0.6%)、投資0.9%(前期2.6%)、輸出1.2%(前期3.3%)、輸入▲0.2%(前期2.2%)となり、輸出が高めの伸びを継続したほか、内需の個人消費や投資も成長を続けた(図表6)。産業別には、工業が0.4%(前期1.6%)、建設業が0.1%(前期1.8%)、サービス業が0.9%(前期0.4%)となり、全体的に成長している。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年07月31日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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