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- ユーロ圏消費者物価(24年6月)-前年比伸び率は横ばい圏の推移
2024年07月03日
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1.結果の概要:総合指数で若干の低下、コア指数は横ばい
7月2日、欧州委員会統計局(Eurostat)は6月のユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。
【総合指数】
・前年同月比は2.5%、市場予想1(2.5%)と一致、前月(2.6%)から低下した(図表1)
・前月比は0.2%、予想(0.2%)と一致、前月(0.2%)から横ばいだった。
【総合指数からエネルギーと飲食料を除いた指数2】
・前年同月比は2.9%、予想(2.8%)から上振れ、前月(2.9%)から横ばいだった(図表2)
・前月比は0.3%、前月(0.4%)から低下した
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。
2.結果の詳細:サービスインフレは前年比で4%台を維持
6月のHICP上昇率3(前年同月比)は全体で2.5%となり、5月(2.6%)からやや低下した。一方、「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」は2.9%で5月(2.9%)から横ばいだった。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が4月0.9%→5月0.7%→6月0.7%となり傾向としては低下しているが、低下ペースは鈍化している。「サービス」(エネルギーを除く)は4月3.7%→5月4.1%→6月4.1%と、4%前後での横ばい推移が継続している。前年同月比寄与度は、「財」が0.16%ポイント程度、「サービス」が1.71%ポイント程度と見られ、足もとの物価上昇の寄与はサービスが大部分を占める状況が続いている(前掲図表1)。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で4月▲0.6%→5月0.3%→6月0.2%と前年同月比でプラスが続いている。エネルギーの前年同月比寄与度は0.02%ポイント程度と見られる。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が4月0.9%→5月0.7%→6月0.7%となり傾向としては低下しているが、低下ペースは鈍化している。「サービス」(エネルギーを除く)は4月3.7%→5月4.1%→6月4.1%と、4%前後での横ばい推移が継続している。前年同月比寄与度は、「財」が0.16%ポイント程度、「サービス」が1.71%ポイント程度と見られ、足もとの物価上昇の寄与はサービスが大部分を占める状況が続いている(前掲図表1)。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で4月▲0.6%→5月0.3%→6月0.2%と前年同月比でプラスが続いている。エネルギーの前年同月比寄与度は0.02%ポイント程度と見られる。
「飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で2.5%(5月2.6%)とやや低下したが、ここところは2%台半ばで横ばい推移となっている(図表3)。飲食料のうち加工食品の伸び率は2.8%(5月2.8%)で概ね低下傾向にあるが、低下ペースは鈍化している。未加工食品は1.4%(5月1.8%)と3か月連続で1%台の上昇率となった。飲食料の前年同月比寄与度は0.54%ポイント程度(5月は0.51%ポイント)と見られる。
物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると(図表4)、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が2.1%(5月2.9%)、コアが3.1%(5月3.4%)、エネルギーを除く財が▲0.1%(5月0.0%)、サービスが4.9%(5月5.4%)、飲食料が0.8%(5月0.7%)となった。物価上昇の勢いは飲食料を除いて鈍化しているが、総合指数、コア、サービスは2%を上回っている。総じてサービスのインフレ圧力の持続性が目立つ状況と言える。
物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると(図表4)、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が2.1%(5月2.9%)、コアが3.1%(5月3.4%)、エネルギーを除く財が▲0.1%(5月0.0%)、サービスが4.9%(5月5.4%)、飲食料が0.8%(5月0.7%)となった。物価上昇の勢いは飲食料を除いて鈍化しているが、総合指数、コア、サービスは2%を上回っている。総じてサービスのインフレ圧力の持続性が目立つ状況と言える。
国別のHICP上昇率は、前年同月比で20か国中、上昇したのは8か国、残りの12か国は低下した(図表5)。また、6か国が物価目標の2%を下回っている。なお、前月比では20か国中14か国がプラスの伸び率となった(図表6)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年07月03日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1818
経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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