- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- ユーロ圏GDP(2024年1-3月期)-前期比0.3%、プラス成長に転じる
2024年05月01日
1.結果の概要:前期比0.3%とプラス成長に転じる
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想も同様
2.結果の詳細:ユーロ圏主要国はいずれもプラス成長
ユーロ圏の24年1-3月期の成長率は前期比0.3%(年率換算1.3%)となり、前期までの2四半期連続のマイナス成長(22年7-9月期、10-12月期ともに前期比▲0.1%・年率換算▲0.2%)からプラス成長に転じた。実質GDPの水準はコロナ禍前(19年10-12月期)対比では3.4%、エネルギー価格が高騰した22年の夏(22年7-9月期)対比では0.5%となった。
経済規模の大きい4か国の伸び率を見ると、前期比ではドイツ0.2%(23年10-12月期▲0.5%)、フランス0.2%(23年10-12月期0.1%)、イタリア0.3%(23年10-12月期0.3%)、スペイン0.7%(23年10-12月期0.7%)となり、今回公表された他のユーロ圏加盟国を含め、いずれも前期比でプラス成長を記録した(図表3横軸)。前期比伸び率について、ドイツ統計局は個人消費が減少する一方で建設投資と輸出が回復を支えたと指摘、イタリア統計局は供給面では農林水産、工業、サービス業が増加し、需要面では内需の寄与はマイナスだったが純輸出の寄与が成長を押し上げたと指摘している(フランス・スペインは後述)。なお、前年同期比ではドイツ、オーストリア、アイルランドがマイナスにとどまっており、コロナ禍からの回復具合ではフランス、オーストリア、ドイツの遅れが目立っている(図表3縦軸・4)。
経済規模の大きい4か国の伸び率を見ると、前期比ではドイツ0.2%(23年10-12月期▲0.5%)、フランス0.2%(23年10-12月期0.1%)、イタリア0.3%(23年10-12月期0.3%)、スペイン0.7%(23年10-12月期0.7%)となり、今回公表された他のユーロ圏加盟国を含め、いずれも前期比でプラス成長を記録した(図表3横軸)。前期比伸び率について、ドイツ統計局は個人消費が減少する一方で建設投資と輸出が回復を支えたと指摘、イタリア統計局は供給面では農林水産、工業、サービス業が増加し、需要面では内需の寄与はマイナスだったが純輸出の寄与が成長を押し上げたと指摘している(フランス・スペインは後述)。なお、前年同期比ではドイツ、オーストリア、アイルランドがマイナスにとどまっており、コロナ禍からの回復具合ではフランス、オーストリア、ドイツの遅れが目立っている(図表3縦軸・4)。
次にフランスとスペインは各国統計局(フランス国立統計経済研究所(INSEE)、スペイン統計局(INE))がGDPの詳細を公表しているので、以下で確認する。
フランスの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費0.4%(前期0.2%)、政府消費0.6%(前期0.5%)、投資0.3%(前期▲0.9%)、輸出0.5%(前期0.4%)、輸入0.2%(前期▲2.3%)となった(図表5)。在庫変動の前期比寄与度は▲0.2%ポイント、純輸出の前期比寄与度は0.0%ポイントであり、内需と輸出が成長をけん引した。産業別の付加価値は、工業が▲0.6%(前期0.3%)、建設業が▲0.4%(前期▲0.6%)、市場型サービス産業0.6%(前期0.1%)、非市場型サービス0.2%(前期0.5%)となり、工業や建設業は低迷したが、市場型サービス産業が高めの成長を記録した。細かい業種では、電気・ガス・水道業(前期比▲2.3%)のマイナスが目立つ一方、居住・飲食業(1.3%)が高めの伸びを記録した。
フランスの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費0.4%(前期0.2%)、政府消費0.6%(前期0.5%)、投資0.3%(前期▲0.9%)、輸出0.5%(前期0.4%)、輸入0.2%(前期▲2.3%)となった(図表5)。在庫変動の前期比寄与度は▲0.2%ポイント、純輸出の前期比寄与度は0.0%ポイントであり、内需と輸出が成長をけん引した。産業別の付加価値は、工業が▲0.6%(前期0.3%)、建設業が▲0.4%(前期▲0.6%)、市場型サービス産業0.6%(前期0.1%)、非市場型サービス0.2%(前期0.5%)となり、工業や建設業は低迷したが、市場型サービス産業が高めの成長を記録した。細かい業種では、電気・ガス・水道業(前期比▲2.3%)のマイナスが目立つ一方、居住・飲食業(1.3%)が高めの伸びを記録した。
スペインの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費0.3%(前期0.3%)、政府消費▲1.0%(前期1.0%)、投資2.6%(前期▲1.6%)、輸出2.4%(前期2.8%)、輸入1.1%(前期2.4%)となり、輸出が高い伸びを継続、個人消費も緩やかな伸びが継続したほか、投資も反発した(図表6)。産業別には、工業が1.6%(前期2.4%)、建設業が2.0%(前期1.2%)、サービス業が0.3%(前期0.2%)で、総じてプラス成長を維持している。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年05月01日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
![](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/35_ext_01_0.jpeg?v=1585725990)
03-3512-1818
経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
高山 武士のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/07/19 | ECB政策理事会-今回は据え置き、次回は文字通りデータ次第か | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2024/07/19 | 英国雇用関連統計(24年6月)-失業率は4.4%で横ばい推移 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2024/07/17 | IMF世界経済見通し-インフレの短期的な上振れリスクが目立つ | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2024/07/11 | ロシアの物価状況(24年6月)-前年比伸び率は8%台で推移 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年07月26日
職場における温度、匂い、音等は、どういう人がシンドイと思っているのか -
2024年07月26日
米GDP(24年4-6月期)-前期比年率+2.8%と前期から大幅上昇、市場予想の+2.0%も大幅に上回る -
2024年07月26日
お金の流れでみる日本経済 -
2024年07月25日
消えた580兆円~住宅投資をしても残高の増加は限定的~日本の住宅投資はなぜ「資産化」しないのか~ -
2024年07月24日
中国経済の現状と注目点-好調は持続せず、不動産不況と貿易摩擦で弱り目に祟り目の中国経済
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【ユーロ圏GDP(2024年1-3月期)-前期比0.3%、プラス成長に転じる】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
ユーロ圏GDP(2024年1-3月期)-前期比0.3%、プラス成長に転じるのレポート Topへ