2024年05月31日

ユーロ圏失業率(2024年4月)-失業率は6.4%にやや低下

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:失業率は概ね横ばいで推移するなか、6.4%にやや低下

5月30日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2024年4月、季節調整値)】
失業率は6.4%、市場予想1(6.5%)より下振れ、前月(6.5%)から低下した(図表1)
失業者は1099.8万人となり、前月(1109.8万人)から10.0万人減少した

(図表1)失業率と国別失業者数/(図表2)若年失業率(25才未満)と国別若年失業者数
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:若年失業率はゆるやかな低下基調を辿る

ユーロ圏(20か国)の4月の失業率は6.4%となり、3月(6.5%)からやや低下し、統計データ公表以来の最低値を更新した。なお、3月以前のデータにはほぼ改定がなかった。

失業者数は4月の前月差で10.0万人減となり、前月(▲10.5万人)に続き2か月連続の減少となった(図表3・4)。主要4か国は、国別にみてもいずれも減少しており、減少幅が大きい順にイタリア(▲5.5万人)、フランス(▲3.3万人)、スペイン(▲0.8万人)、ドイツ(▲0.1万人)となった。

4月の若年失業率は14.1%となり、3月(14.3%)から低下した(前掲図表2)。また、若年失業率の過去データはやや悪化方向に改定された(3月14.1→14.3%、2月14.4→14.6%、1月14.4→14.6%など)。若年失業者数は4月で227.2万人(前月差▲1.9万人)となり4か月連続の前月比減少となった。若年失業者数の水準はコロナショック直前(20年3月の234.9万人)を下回る状態で推移している(図表4)。
(図表3)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化
国別の4月のデータを見ると、失業率は20か国中、悪化した国が4か国、改善が8か国、横ばいが8か国となり、やや改善した国が多かった(図表5)。若年失業率も公表されている16か国中、悪化した国が4か国、改善が9か国、横ばいが3か国と改善した国が多かった(図表6)。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者が減少、雇用者が増加、非労働力人口も微増した(図表7)。ポルトガルは失業者が減少したが、雇用者も減少しており、非労働力人口が大幅に増加している(図表8)。その結果、労働参加率はイタリアで高止まり、ポルトガルではコロナ禍前よりは高い水準にあるものの、最近は低下傾向を辿っている。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2024年05月31日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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