2024年07月30日

雇用関連統計24年6月-就業者数(季節調整値)が過去最高に

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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1.失業率は前月から0.1ポイント低下の2.5%

完全失業率と就業者の推移 総務省が7月30日に公表した労働力調査によると、24年6月の完全失業率は前月から0.1ポイント低下の2.5%(QUICK集計・事前予想:2.6%、当社予想も2.6%)となった。

労働力人口が前月から19万人の増加となる中、就業者が前月から25万人増加し、失業者は前月から6万人減少の176万人(いずれも季節調整値)となった。就業者数はコロナ禍前の19年10月(6784万人)を上回り、過去最高となった。
就業者数は前年差37万人増(5月:同21万人増)と23ヵ月連続で増加し、前月から増加幅が拡大した。産業別には、卸売・小売業が前年差31万人増(5月:同16万人増)と3ヵ月連続、宿泊・飲食サービス業が前年差3万人増(5月:同13万人増)と24ヵ月連続で増加し、医療・福祉は前年差7万人増(5月:同4万人減)と2ヵ月ぶりに増加したが、生産活動の低迷を反映し、製造業が前年差8万人減(5月:同7万人減)、と4ヵ月連続で減少した。
産業別・就業者数の推移/雇用形態別雇用者数
雇用者数(役員を除く)は前年に比べ19万人増(5月:同17万人増)と28ヵ月連続で増加した。雇用形態別にみると、正規の職員・従業員数が前年差31万人増(5月:20万人増)と8ヵ連続で増加したが、非正規の職員・従業員数が前年差12万人減(5月:同4万人減)と2ヵ月連続で減少した。

2.求人数の減少が続く

厚生労働省が7月30日に公表した一般職業紹介状況によると、24年6月の有効求人倍率は前月から0.01ポイント低下の1.23倍(QUICK集計・事前予想:1.24倍、当社予想も1.24倍)となった。有効求人数が前月比▲0.1%の減少となる一方、有効求職者数が同0.6%の増加となったことが求人倍率の低下につながった。

有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.10ポイント上昇の2.26倍となった。新規求人数が前月比▲0.2%の減少、新規求職申込件数が同▲4.8%の減少となった。

新規求人数は前年比▲9.4%(5月:同▲0.6%)と10ヵ月連続で減少した。産業別には、建設業(前年比▲12.8%)、製造業(同▲14.6%)、宿泊・飲食サービス業(同▲10.1%)、生活関連サービス・娯楽業(同▲13.7%)など、軒並み前年比で二桁の大幅減少となった。
有効求人倍率の推移/産業別新規求人数
入職経路別の入職者の割合 企業の人手不足感は強い状態が続く一方、新規求人数は23年に入ってから減少傾向が続いている。この背景には企業の求人がハローワークから民間職業紹介所、広告等の他のチャネルにシフトしていることもあると考えられる。

厚生労働省の「雇用動向調査」によれば、様々な入職経路のうち、ハローワークを通した入職者の割合は長期的に低下傾向が続いている。ハローワークにおける求人・求職動向が労働市場全体の需給関係を必ずしも反映しなくなっている可能性があることには注意が必要だ。
 
 

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(2024年07月30日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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