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- 株式投信が非常によく売れた2024年上半期
2024年08月05日
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2024年上半期は、追加型株式投信(ETFを除く。以後、投信)に8兆5,000億円の資金流入があり、この半年で2023年の6兆7,000億円を超えた。そもそも2023年は上半期が2兆1,000億円の流入と2021年や2022年と比べて投信販売がやや低調であった。2023年下半期には4兆6,000億円の流入と2021年、2022年並みに復調した。2024年上半期は流入額が2023年下半期のみと比べても倍に迫っており、さらに加速した。
投信の資金動向を組入れられている資産別にみると、2024年上半期は外国REIT投信と国内REIT投信が少額ながら流出超過に転じていたが、これら以外の資産クラスの投信は流入超過であった【図表1】。特に外国株式投信に6兆8,000億円の資金流入があり、外国株式投信が売れに売れた。あまりに大規模であったため、為替市場で外国株式投信への資金流入に伴う円売りが円安要因にあげられるほどであった。
投信の資金動向を組入れられている資産別にみると、2024年上半期は外国REIT投信と国内REIT投信が少額ながら流出超過に転じていたが、これら以外の資産クラスの投信は流入超過であった【図表1】。特に外国株式投信に6兆8,000億円の資金流入があり、外国株式投信が売れに売れた。あまりに大規模であったため、為替市場で外国株式投信への資金流入に伴う円売りが円安要因にあげられるほどであった。
外国株式投信の中では、インデックス型に4兆8,000億円の資金流入があり牽引した。これまでインデックス型の外国株式は2023年の3兆5,000億円の流入が最大であったが、2024年は上半期で既に大きく上回っている。それに加えてアクティブ型にも2024年上半期に2兆円の資金流入があり、2022年以降だと半期で最大であった。
2024年はなんといっても少額投資非課税制度(NISA)が大幅に拡充され、いわゆる新NISAとして生まれ変わった。それに伴って年間の買付枠が大幅に拡大され、NISA口座からの買付が2024年1-3月の分かっているだけで6兆2,000億円に迫り、3カ月で2023年1年間の買付額5兆4,000億円を上回った。そのうち3兆5,000億円が投信買付だった。
このNISA口座からの投信買いの大部分が外国株式投信、特にインデックス型に向かったようだ。月次でインデックス型の外国株式投信の設定額をみてもそのことが見て取れる。つみたてNISAが始まった2018年から右肩上がりで増加してきたが、2023年下半期でも5,000億円から6,000億円程度であった【図表2】。それが2024年に入ると最も少なかった4月でも1兆円に迫る設定があり、毎月の設定額は2023年下半期のほぼ倍になっている。
ただし、インデックス型の外国株式投信の買付額は2024年1月に1兆4,000億円をピークに2月、3月、4月と減少した。これは年初に成長投資枠を使い切った人が多かったことが背景にあると思われる。NISA口座からの2024年1-3月の投信買付の3兆5,000億円のうち7割の2兆5,000億円が成長投資枠からであった。年初は成長投資枠の一括購入で特に買付が膨らんでいた可能性が考えられる。
さらにインデックス型の外国株式投信では解約額も2023年11月から膨らんでおり、2024年1月は買付だけでなく解約も4,000億円と過去最大だった。NISA口座から買付すべてが新規資金というわけではなく、一部で課税口座からNISA口座への買い替えが起こっていることもうかがえる。
2024年はなんといっても少額投資非課税制度(NISA)が大幅に拡充され、いわゆる新NISAとして生まれ変わった。それに伴って年間の買付枠が大幅に拡大され、NISA口座からの買付が2024年1-3月の分かっているだけで6兆2,000億円に迫り、3カ月で2023年1年間の買付額5兆4,000億円を上回った。そのうち3兆5,000億円が投信買付だった。
このNISA口座からの投信買いの大部分が外国株式投信、特にインデックス型に向かったようだ。月次でインデックス型の外国株式投信の設定額をみてもそのことが見て取れる。つみたてNISAが始まった2018年から右肩上がりで増加してきたが、2023年下半期でも5,000億円から6,000億円程度であった【図表2】。それが2024年に入ると最も少なかった4月でも1兆円に迫る設定があり、毎月の設定額は2023年下半期のほぼ倍になっている。
ただし、インデックス型の外国株式投信の買付額は2024年1月に1兆4,000億円をピークに2月、3月、4月と減少した。これは年初に成長投資枠を使い切った人が多かったことが背景にあると思われる。NISA口座からの2024年1-3月の投信買付の3兆5,000億円のうち7割の2兆5,000億円が成長投資枠からであった。年初は成長投資枠の一括購入で特に買付が膨らんでいた可能性が考えられる。
さらにインデックス型の外国株式投信では解約額も2023年11月から膨らんでおり、2024年1月は買付だけでなく解約も4,000億円と過去最大だった。NISA口座から買付すべてが新規資金というわけではなく、一部で課税口座からNISA口座への買い替えが起こっていることもうかがえる。
このように2024年上半期は新NISAの影響がインデックス型の外国株式投信には明確にみられたが、それ以外の投信では小さかった。それでもインデックス型の外国株式投信ほどではないが、その他の内外株式投信の販売も好調だった。アクティブ型の外国株式投信は毎月分配型のものやインド株式のものがよく売れた。また、国内株式投信も2024年上半期に1兆円に迫る資金流入があった。インデックス型では相変わらず逆張り投資の傾向が顕著であったが、アクティブ型は高配当株式ものなどが人気であった。
内外株式投信の販売が好調だった背景には、新NISA以外に日米株式が大きく上昇するなど良好な市場環境も背景にあったと思われる。新NISAによって投資を始めたばかり人も投信市場に増えていることもあり、これから市場環境とともに投信の販売状況がどのようになるのか、その動向に注目したい。
内外株式投信の販売が好調だった背景には、新NISA以外に日米株式が大きく上昇するなど良好な市場環境も背景にあったと思われる。新NISAによって投資を始めたばかり人も投信市場に増えていることもあり、これから市場環境とともに投信の販売状況がどのようになるのか、その動向に注目したい。
(2024年08月05日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
前山 裕亮のレポート
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