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- 2023年、投信市場で外国債券投資が復活?
2024年02月05日
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2023年は、追加型株式投信(ETFを除く。以後、投信)に6兆7,000億円の資金流入があった。2021年の9兆6,000億円、2022年の8兆4,000億円と比べると減少した。2023年は下半期に限ると4兆6,000億円と2021年、2022年並みの資金流入であったが、上半期に2兆1,000億円の資金流入とやや落ち込んだのが響いた。
投信の資金動向を組入れられている資産別にみると、2023年は全資産で資金流入があった【図表1】。特に外国株式投信に4兆円の資金流入があり、相変わらず組入資産別だと最大であったが、2022年の4兆7,000億円からは減少した。外国株式投信の中では、アクティブ型が4,000億円の流入にとどまり、2022年の1兆5,000億円から3分の1に大きく減少した【図表2:左】。
アクティブ型の外国株式投信は2020年や2021年に大規模な資金流入があったものを中心に資金流出があり、流出超過になる月も多かった。2023年は米国株式など世界的に株価が上昇し、さらに円安も進行したため、ほとんどの外国株式投信で基準価額が上昇した。2、3年前に外国株式投信を購入した投資家にとっては絶好の利益確定のタイミングになった様子である。
それでもアクティブ型の外国株式投信全体でみると毎月分配型やインド株式のものが売れたため2023年通してだと流入超過となった。毎月分配型は2023年も相変わらず人気であったが、来年から始まる新NISAでは購入不可になっている。毎月分配型投信、さらにはアクティブ型の外国株式投信の販売動向が2024年以降、どのようになるのか注目される。
投信の資金動向を組入れられている資産別にみると、2023年は全資産で資金流入があった【図表1】。特に外国株式投信に4兆円の資金流入があり、相変わらず組入資産別だと最大であったが、2022年の4兆7,000億円からは減少した。外国株式投信の中では、アクティブ型が4,000億円の流入にとどまり、2022年の1兆5,000億円から3分の1に大きく減少した【図表2:左】。
アクティブ型の外国株式投信は2020年や2021年に大規模な資金流入があったものを中心に資金流出があり、流出超過になる月も多かった。2023年は米国株式など世界的に株価が上昇し、さらに円安も進行したため、ほとんどの外国株式投信で基準価額が上昇した。2、3年前に外国株式投信を購入した投資家にとっては絶好の利益確定のタイミングになった様子である。
それでもアクティブ型の外国株式投信全体でみると毎月分配型やインド株式のものが売れたため2023年通してだと流入超過となった。毎月分配型は2023年も相変わらず人気であったが、来年から始まる新NISAでは購入不可になっている。毎月分配型投信、さらにはアクティブ型の外国株式投信の販売動向が2024年以降、どのようになるのか注目される。
その一方でインデックス型の外国株式投信には3兆5,000億円の資金流入があり、2022年の3兆2,000億円を超えて過去最大となった【図表2:左】。ただ、インデックス型の外国株式投信でもアクティブ型のように流出に転じることはなかったが、4月と5月は月間の流入額が2,000億円を下回るなど流入が鈍化していた。しかし、6月以降は毎月3,000億円程度の資金流入が続き、特に9月、10月は4,000億円と月間でも過去最大の資金流入があり、投信販売を牽引した。
インデックス型の外国株式投信の販売が2023年6月以降に好調だった背景には、やはり新NISAの影響があるだろう。実際に2023年9月末までの情報になるが、つみたてNISAは2023年7-9月に四半期の口座開設が過去最大となり、906万口座まで増えている。口座の増加に伴って買付も順調に増えてきており、その影響がインデックス型の外国株式投信に出ていると考えられる。インデックス型の外国株式投信は新NISAでも中心商品になることが見込まれており、今後ますます投信市場での存在感が増すだろう。
また、2023年は外国株式投信だけでなくバランス型投信や国内REIT投信も資金流入が2022年から鈍化した。唯一、外国債券投信には2023年に1兆1,000億円の資金流入があり、2022年の5,000億円から倍増した【図表2:右】。
外国債券投信は2021年から3年連続の資金流入となったが、2021年、2022年は預金・国内債券の代替として為替ヘッジしている外国債券投信が販売を牽引した。しかし、2023年は日米金利差拡大等で為替ヘッジのコストが高騰したためか為替ヘッジしている外国債券投信の販売は鈍化し、一部では売却も出たが、それ以上に為替ヘッジしていない外国債券投信が売れたため、外国債券投信全体でみて資金流入が増加した。2022年からの世界的な金融引締めに伴って、米国を中心に先進国の債券利回りが上昇してきており、為替リスクを取ってでも外国債券に投資する人が増えたのかもしれない。
2024年は日米の金融政策の動向次第では債券市場や為替市場が大揺れになる可能性がある。2024年の投信市場では新NISAの開始に伴い販売動向にどのような影響があるかが注目されるが、それと合わせて外国債券投信の人気が継続するのかどうかにも注目したい。
インデックス型の外国株式投信の販売が2023年6月以降に好調だった背景には、やはり新NISAの影響があるだろう。実際に2023年9月末までの情報になるが、つみたてNISAは2023年7-9月に四半期の口座開設が過去最大となり、906万口座まで増えている。口座の増加に伴って買付も順調に増えてきており、その影響がインデックス型の外国株式投信に出ていると考えられる。インデックス型の外国株式投信は新NISAでも中心商品になることが見込まれており、今後ますます投信市場での存在感が増すだろう。
また、2023年は外国株式投信だけでなくバランス型投信や国内REIT投信も資金流入が2022年から鈍化した。唯一、外国債券投信には2023年に1兆1,000億円の資金流入があり、2022年の5,000億円から倍増した【図表2:右】。
外国債券投信は2021年から3年連続の資金流入となったが、2021年、2022年は預金・国内債券の代替として為替ヘッジしている外国債券投信が販売を牽引した。しかし、2023年は日米金利差拡大等で為替ヘッジのコストが高騰したためか為替ヘッジしている外国債券投信の販売は鈍化し、一部では売却も出たが、それ以上に為替ヘッジしていない外国債券投信が売れたため、外国債券投信全体でみて資金流入が増加した。2022年からの世界的な金融引締めに伴って、米国を中心に先進国の債券利回りが上昇してきており、為替リスクを取ってでも外国債券に投資する人が増えたのかもしれない。
2024年は日米の金融政策の動向次第では債券市場や為替市場が大揺れになる可能性がある。2024年の投信市場では新NISAの開始に伴い販売動向にどのような影響があるかが注目されるが、それと合わせて外国債券投信の人気が継続するのかどうかにも注目したい。
(2024年02月05日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
前山 裕亮のレポート
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