インデックス型の外株を除くと売却超過～2023年12月の投信動向～

金融研究部主任研究員前山裕亮

資金流入が外国株式を中心に前月からやや増加

2023年12月の日本籍追加型株式投信（ＥＴＦを除く。以降、ファンドと表記）の推計資金流出入をみると、12月は外国株式、国内株式、外国債券を対象とするファンドに資金流入があった【図表１】。外国ＲＥＩＴファンド、国内ＲＥＩＴファンド、バランス型ファンドからは資金流出していたが、ファンド全体だと3,200億円の資金流入があり、11月の700億円から2,500億円増加した。

やはり12月も外国株式ファンドに3,300億円の資金流入があり、資産クラス別で最も資金流入があった。特に一般販売されているインデックス型の外国株式ファンドには3,500億円もの資金流入があり、11月の2,900億円から増加した。

【図表１】 2023年12月の日本籍追加型株式投信（除くETF）の推計資金流出入

インデックス型の外国株式以外は引き続き低調

ただし、12月はファンド全体で3,200億円の資金流入があったが、ＳＭＡ専用ファンドとインデックス型の外国株式ファンドを除くと900億円の資金流出と２カ月連続の流出超過だった。流出額こそ11月の3,000億円から1/3以下になったが、インデックス型の外国株式ファンド以外だと販売が引き続き低調であったといえるだろう。

実際に外国株式ファンドでも、一般販売されているアクティブ型に限ると300億円の資金流出であり、流出額こそ11月から半減したが２カ月連続で流出超過であった。また、国内株式ファンドは700億円の資金流入と11月の1,100億円の資金流出から流入に転じたが、一般販売されているアクティブ型へは500億円の資金流入と11月と同程度であった。12月は11月に株価の急上昇に伴い膨らんでいたインデックス型の売却が収まっただけで、国内株式ファンドが11月より特段売れた様子は見られなかった。

外国債券ファンドも12月に500億円の資金流入と11月の60億円から増加したが、資金流入のほとんどが12月に新設された限定追加型（【図表２】青太字など）への流入だった。既設の外国債券ファンドが売れているわけではなかった。さらに外国ＲＥＩＴファンド、国内ＲＥＩＴファンド、バランス型ファンドは11月よりも資金流出が増加した。特に外国ＲＥＩＴファンドは、12月に基準価額が大きく上昇したファンドが多かったこともあり、500億円の資金流出と11月の200億円から倍増した。

資金流出した内外ＲＥＩＴファンドのほとんどが毎月分配型であった。毎月分配型ファンド全体でみても12月は800億円の資金流出と11月の500億円から増加しており、11月以上に売却が膨らんだ。毎月分配型ファンドは足元でも売れているファンド（【図表２】緑太字）もあるが、新ＮＩＳＡからの買付が不可になっていることもあり、2024年も解約基調が続くのか動向が注目される。

インデックス型の外国株式ファンドが投信販売を支える

このように投信市場ではインデックス型の外国株式ファンドの影響が日に日に大きくなっており、12月に限らず2023年は１年通してインデックス型の外国株式ファンドが投信販売を牽引した。個別にみても、おなじみのインデックス型の外国株式ファンド（赤太字）が12月も上位にあり、2023年を通してでも資金流入上位だった【図表２、３】。

インデックス型の外国株式ファンドの設定額、解約額、資金流出入の推移をみると、あくまでも11月までになるが2023年６月以降に設定額（青棒）が5,000億円程度の推移が続いており、2023年後半に買付が一段と増えていることが分かる【図表４】。資金流入（線グラフ）は解約（赤棒）が膨らむ月もあって買付と比べて安定していないが、それでも毎月3,000億円程度もしくはそれ以上の純流入が半年以上続いている。

2023年後半にインデックス型の外国株式ファンドの買付が膨らんでいる背景には、やはり新ＮＩＳＡの開始が迫っていることがあるだろう。実際に2023年９月末までの情報になるが、つみたてＮＩＳＡは2023年７-９月に四半期の口座開設が過去最大となり、906万口座まで増えている。口座の増加に伴って買付も順調に増えてきており、インデックス型の外国株式ファンドが一足はやく買い付けられているのかもしれない。

なお、新ＮＩＳＡの開始された2024年１月は11日までにもかかわらずインデックス型の外国株式ファンドに4,300億円もの資金流入があった【図表４：点線】。このままどこまでインデックス型の外国株式ファンドの買付が増えるのか注目される。

米株集中よりも分散投資が選好？

インデックス型の外国株式ファンドの中では、これまで米国株式の株価指数に連動する米国株式ファンドが人気であった。しかし、米国株式ファンドには2023年も１兆7,200億円と大規模な資金流入があったが、2022年の１兆8,000億円と比べるとやや鈍化した。

その一方で全世界株式や先進国株式など米国株式以外のインデックス型の外国株式ファンドに2023年は１兆8,000億円の大規模な資金流入があり、2022年の１兆4,300億円から3,700億円も増えた。個別でみても12月にもっとも資金流入があった「ｅＭＡＸＩＳＳｌｉｍ全世界株式(オール・カントリー)」の流入額が2023年１年間で7,400億円と2022年の4,100億円から大きく増えた。2024年１月も11日までは米国株式ファンドの2,000億円に対してそれ以外の外国株式ファンドの方が2,300億円とやや資金流入が多くなっている。

新ＮＩＳＡに限った話ではないが、米国株式への集中投資よりも全世界株式や先進国株式など分散投資を意識する投資家が増えているのかもしれない。

ハイテク系のテーマ型外国株式ファンドが高パフォーマンスに

12月は円高が進行したものの米国株式を中心に外国株式が上昇したが、ハイテク系のテーマ型外国株式ファンドが好調であり、基準価額が10％以上も上昇するファンドも多かった【図表５】。また、2023年通してもみても一部のハイテク系のテーマ型外国株式ファンドが特に好調であった【図表６】。

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