- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 資産運用・資産形成 >
- 株式 >
- 日本株高の賞味期限は~円高と米株高、次第?~
コラム
2023年06月21日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
日本株高の背景には円安と米株高
実は円建ての米国株式と同じ値動き
2023年の年初からの騰落率は6月20日時点で、TOPIX(青線)が21%に対してS&P500種株価指数(黄線)が14%と、TOPIXの方が大きくなっている【図表1】。ただ、円建てにするとS&P500種株価指数(灰線)は22%とTOPIXとほぼ同じだけ上昇しており、日本株式が独歩高といえない状況であることが分かる。
そもそも2022年以降のTOPIXと円建てのS&P500種株価指数は似たような推移をしてきたが2023年に入ってもその傾向が続いている。そのことを踏まえると、足元の日本株式の上昇も円安と米株高である程度は説明できてしまうといえよう。
そもそも2022年以降のTOPIXと円建てのS&P500種株価指数は似たような推移をしてきたが2023年に入ってもその傾向が続いている。そのことを踏まえると、足元の日本株式の上昇も円安と米株高である程度は説明できてしまうといえよう。
日本株式の評価も実はそれほど高まっていない?
また、バリュエーションを見ても日本株式の独歩高とはいえない状況であることが見て取れる。TOPIX(青線)の予想PERは14倍を超えるなど切りあがってきているが、S&P500種株価指数(黄線)も足元で19倍になるなど上昇している。単純に考えると、S&P500種株価指数に対してTOPIXはまだ8割弱の評価(面グラフ)にとどまっているという見方もできる。
過去を振り返るとTOPIXの予想PERは2012年から2015年はS&P500種株価指数の9割前後、2016年から2021年は8割前後であった。やはりアベノミクス相場では日本株式に対する評価が相対的に高かったことがうかがえる。足元、アベノミクス相場と比較されることもあるが、バリュエーションからみると日本株式の評価がそれほど高まっているわけではないことが分かる。このことからも世界的にリスク選好が高まったことで日本株式も上昇してきた面が強いことがうかがえる。
過去を振り返るとTOPIXの予想PERは2012年から2015年はS&P500種株価指数の9割前後、2016年から2021年は8割前後であった。やはりアベノミクス相場では日本株式に対する評価が相対的に高かったことがうかがえる。足元、アベノミクス相場と比較されることもあるが、バリュエーションからみると日本株式の評価がそれほど高まっているわけではないことが分かる。このことからも世界的にリスク選好が高まったことで日本株式も上昇してきた面が強いことがうかがえる。
今後も為替と米株、次第か
逆に言うと、米国株と比較して日本株式の相対的な割高感はたいして高まっていないため、まだ上昇余地があるといえるのかもしれない。ただし、これまで追い風となっていた円安や米株高が日米の金融政策の動向次第で今後止まる可能性があり、むしろその可能性の方が高いように思われる。追い風が止まり、さらには円高に米株安と逆風になった時に、日本株式が耐えられるかが注目される。つまり、日本株式自体に対する評価が本当に前向きに変わったのかは、追い風が止まってから分かるのであろう。
日本株式に対する評価がさほど変わっていなければ、為替や米国株式が変調をきたした時が日本株高の賞味期限になるのではないかと考えている。
日本株式に対する評価がさほど変わっていなければ、為替や米国株式が変調をきたした時が日本株高の賞味期限になるのではないかと考えている。
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
(2023年06月21日「研究員の眼」)

03-3512-1785
経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
前山 裕亮のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/06/11 | DCでも、国内株式の利確膨らむ~2025年5月の投信動向~ | 前山 裕亮 | 研究員の眼 |
2025/05/29 | 米国株式は高PERでも高収益?~日米株式の資本コスト比較~ | 前山 裕亮 | 研究員の眼 |
2025/05/09 | 下落時の分配金の是非~2025年4月の投信動向~ | 前山 裕亮 | 研究員の眼 |
2025/05/02 | 金利がある世界での資本コスト | 前山 裕亮 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年06月13日
インド消費者物価(25年5月)~5月のCPI上昇率は+2.8%、食品価格の低下が続いて6年ぶりの低水準に -
2025年06月13日
年齢制限をすり抜ける小学生たち -
2025年06月13日
欧州保険会社が2024年のSFCR(ソルベンシー財務状況報告書)を公表(2)-SCRの算出(内部モデルの使用状況と分散効果の状況等)- -
2025年06月13日
DeepSeekに見るAIの未来 -近年のAI進化の背景とは -
2025年06月13日
株主提案による役員選任議案-フジメディア・ホールディングス
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
【日本株高の賞味期限は~円高と米株高、次第?~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
日本株高の賞味期限は~円高と米株高、次第?~のレポート Topへ