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コラム
2024年03月12日
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口座数は着実に増加
2024年からいわゆる新NISAとして大幅に制度拡充されて生まれ変わった少額投資非課税制度(NISA)。NISAの口座数(線グラフ)は2023年末時点だと一般が1,161万、つみたてが974万、全体で2,136万になっています【図表1】。口座の増加数(棒グラフ)は2023年につみたてNISAを中心に335万口座増え、2021年の268万口座を上回り一般NISAの開始年の2014年を除くと最大となりました。2023年は年後半に口座開設が特に進んでおり、新NISAを前に口座開設する人が多かったことがうかがえます。2024年に入ってからの動向は金融庁の発表を待つ必要がありますが、各種報道を見る限りでは2023年以上に口座開設が進んでいる様子です。
実は投資信託から利益を得ている人が多い
かなり制度の利用が広がってきており、年代によっては口座の保有率が25%超えてきています。つまり、4人に1人は新NISAの口座を保有している年代があるといえます。逆に見方を変えると、これだけ新NISAが注目され口座開設が進んだといっても、まだまだ4人に3人以上は保有していない状況であるといえます。
新NISAの口座開設を行わない理由はさまざまあると思いますが、もし投資について抵抗感があり口座開設を躊躇しているならば知っていただきたいデータがあります。それは金融庁が2018年から毎年、集計し公表している「投資信託の共通KPIに関する分析」です。当分析では、「たられば」ではない新NISAの中心商品である投資信託を購入した人たちが本当にどのようになっているかをみることができます。
特にNISAの口座数が多い大手ネット証券2社である楽天証券とSBI証券の投資信託の運用損益別顧客比率が参考になります【図表2】。2023年3月末時点では、楽天証券が84%とSBI証券が88%の顧客の運用損益がプラスとなっています。つまり2社とも8割以上の顧客が投資信託から利益を上げている状況といえます。
新NISAの口座開設を行わない理由はさまざまあると思いますが、もし投資について抵抗感があり口座開設を躊躇しているならば知っていただきたいデータがあります。それは金融庁が2018年から毎年、集計し公表している「投資信託の共通KPIに関する分析」です。当分析では、「たられば」ではない新NISAの中心商品である投資信託を購入した人たちが本当にどのようになっているかをみることができます。
特にNISAの口座数が多い大手ネット証券2社である楽天証券とSBI証券の投資信託の運用損益別顧客比率が参考になります【図表2】。2023年3月末時点では、楽天証券が84%とSBI証券が88%の顧客の運用損益がプラスとなっています。つまり2社とも8割以上の顧客が投資信託から利益を上げている状況といえます。
苦境の時もあった
当然、投資信託の運用状況はその時々の市場環境にも左右されます。2社の運用損益がプラスの顧客の割合の推移をみると2021年3月末、2022年3月末は2社とも95%程度の顧客、ほとんどの顧客の運用損益がプラスでした【図表3】。
その一方で2020年3月末は楽天証券で14%、SBI証券で22%しかプラスの顧客がおらず、多くの顧客が含み損を抱えていました。2020年と言えば2月から新型コロナ・ウイルスが世界中でまん延して3月末は世界的に株価が下落していたタイミングです。しかも2社は2019年の「老後2,000万円不足問題」をきっかけに投資信託を買い始めた人が多かったこともあり、全事業者平均以上に厳しい顧客が多かったと推測されます。ただし、保有し続けた顧客のほとんどが1年後の2021年3月末にはプラスに転じたことが分かります。
その一方で2020年3月末は楽天証券で14%、SBI証券で22%しかプラスの顧客がおらず、多くの顧客が含み損を抱えていました。2020年と言えば2月から新型コロナ・ウイルスが世界中でまん延して3月末は世界的に株価が下落していたタイミングです。しかも2社は2019年の「老後2,000万円不足問題」をきっかけに投資信託を買い始めた人が多かったこともあり、全事業者平均以上に厳しい顧客が多かったと推測されます。ただし、保有し続けた顧客のほとんどが1年後の2021年3月末にはプラスに転じたことが分かります。
食わず嫌いせずに
新NISAは素晴らしい制度ですが、やはり投資自体にリスクはつきものです。ただ、リスクがありながらも投資信託を通じて投資して利益を得ている人が多いのも事実です。もし新NISAや投資信託、投資について初めから食わず嫌いしているのであれば、「投資信託の共通KPIに関する分析」などの実際のデータも踏まえた上で新NISAの活用などを改めて検討していただけると嬉しいです。
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
(2024年03月12日「研究員の眼」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
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