- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 資産運用・資産形成 >
- 投資信託 >
- 新NISAから外れても毎月分配型~2024年6月の投信動向~
コラム
2024年07月08日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
外国株式ファンドが非常によく売れた
2024年6月の日本籍追加型株式投信(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の推計資金流出入をみると、外国株式ファンドに1兆3,800億円の資金流入があった【図表1】。5月の1兆1,500億円からさらに2,300億円増え、過去最大を更新した【図表2】。
外国株式ファンドへの資金流入は2024年に入るまで2021年12月の9,900億円が最大であった。それが2024年に入ってから最も少額であった4月でも9,500億円と大規模な資金流入が続いているが、特に6月は一段と増えた。
外国株式ファンドをSMA専用(紺棒)のものを除外し一般販売されているものに限ってタイプ別にみると、6月はインデックス型(黄棒)、アクティブ型(緑棒)ともに5月から流入が増加した【図表2】。特にアクティブ型が5,500億円と5月の3,500億円から1.5倍に膨らんだ。
外国株式ファンドへの資金流入は2024年に入るまで2021年12月の9,900億円が最大であった。それが2024年に入ってから最も少額であった4月でも9,500億円と大規模な資金流入が続いているが、特に6月は一段と増えた。
外国株式ファンドをSMA専用(紺棒)のものを除外し一般販売されているものに限ってタイプ別にみると、6月はインデックス型(黄棒)、アクティブ型(緑棒)ともに5月から流入が増加した【図表2】。特にアクティブ型が5,500億円と5月の3,500億円から1.5倍に膨らんだ。
毎月分配型の外国株式ファンドが販売をけん引
そもそも、アクティブ型の外国株式ファンドは2022年ごろから販売が低迷していた。これは2022年に外国株式が調整したことに加え、2020年後半から2021年にかけて販売が好調過ぎた反動もあったと思われる。2023年は一転して外国株式の株価上昇と円安で多くの外国株式ファンドの基準価額が大きく上昇したが、利益確定売りに押されて売却超過になる月もみられた。それが2024年は徐々に復調し、この6月は2021年12月の6,100億円以来の規模の資金流入があった。
2024年に入ってからアクティブ型の外国株式ファンドの販売を牽引しているのは、意外にも新NISAからの買付ができない毎月分配型である。一般販売されている毎月分配型の外国株式ファンドは資金流入が1月の1,100億円から毎月増加し、6月は3本(【図表3】赤太字)を中心に2,500億円の資金流入があった。
2024年は今のところ米国株式を中心に世界的に株価が上昇し、しかも年初1ドル140円台前半だったのが6月末には160円台を超えるなど急激に円安も進んだ。そのため為替ヘッジをしていない外国株式ファンドは総じてかなりの高収益をあげており、それを原資に高分配を維持している毎月分配型、特に予想分配金提示型が多い。この高い分配金に注目して毎月分配型の外国株式ファンドを購入する個人投資家が増えているものと推察される。
2024年に入ってからアクティブ型の外国株式ファンドの販売を牽引しているのは、意外にも新NISAからの買付ができない毎月分配型である。一般販売されている毎月分配型の外国株式ファンドは資金流入が1月の1,100億円から毎月増加し、6月は3本(【図表3】赤太字)を中心に2,500億円の資金流入があった。
2024年は今のところ米国株式を中心に世界的に株価が上昇し、しかも年初1ドル140円台前半だったのが6月末には160円台を超えるなど急激に円安も進んだ。そのため為替ヘッジをしていない外国株式ファンドは総じてかなりの高収益をあげており、それを原資に高分配を維持している毎月分配型、特に予想分配金提示型が多い。この高い分配金に注目して毎月分配型の外国株式ファンドを購入する個人投資家が増えているものと推察される。
アクティブ型にインド株式ファンドに過去最大の資金流入
さらにアクティブ型では、インド株式ファンドも非常によく売れている。6月は「HSBC インド・インフラ株式オープン」、「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」(【図表3】青太字)を中心に、一般販売されているものに2,200億円の資金流入があった。5月も1,800億円の流入と過去最大であったが、さらに400億円以上増えた。その一方でインデックス型のインド株式ファンドは6月も200億円の資金流入と4月以降、200億円前後でほぼ横ばいとなっている。
このようにインド株式ファンドがアクティブ型のみ足元でよく売れているのは、インデックス型にインド株の中で特に高いパフォーマンスをあげているインフラ株にフォーカスしているファンドがないこともあるかもしれない。ただ、それ以上に対面証券でアクティブ型のインド株式を推していることがあると思われる。
このようにインド株式ファンドがアクティブ型のみ足元でよく売れているのは、インデックス型にインド株の中で特に高いパフォーマンスをあげているインフラ株にフォーカスしているファンドがないこともあるかもしれない。ただ、それ以上に対面証券でアクティブ型のインド株式を推していることがあると思われる。
インデックス型の米国株式ファンドも売れた
また、6月は一般販売されているインデックス型の外国株式ファンドにも8,100億円の資金流入と5月の7,800億円から増え、少額ではあるが2カ月連続の増加となった。インデックス型の外国株式ファンドは1月に資金流入が急増してから鈍化していたが、持ち直してきたのかもしれない。
最近のインデックス型の外国株式ファンドの一般販売を支えているのは、米国株式ものである。6月はインデックス型の米国株式ファンド(黄棒)に4,200億円の資金流入がものにあり、2カ月の連続の増加となった【図表4】。なお、全世界株式指数に連動するインデックス型のグローバル株式ファンド(青棒)は3,600億円の資金流入と5月からやや鈍化した。
最近のインデックス型の外国株式ファンドの一般販売を支えているのは、米国株式ものである。6月はインデックス型の米国株式ファンド(黄棒)に4,200億円の資金流入がものにあり、2カ月の連続の増加となった【図表4】。なお、全世界株式指数に連動するインデックス型のグローバル株式ファンド(青棒)は3,600億円の資金流入と5月からやや鈍化した。
米国株式ものが盛り返している2つの理由
インデックス型の中で米国株式ものは昨年からやや人気に陰りがみられ、1月までややグローバル株式のものに押されていた。それでも2月以降に盛り返してきている要因は2つあると思われる。
まず、何と言っても米国株式が2024年に入って好調なことである。2024年上半期のドル建ての騰落率をみても全世界指数が10%であったのに対してS&P500種株価指数は14%だった。さらにNASDAQ100は17%、FANG+指数やフィラデルフィア半導体株指数、いわゆるSOX指数にいたっては30%以上も上昇した。足元の高パフォーマンスから米国株式を改めて見直す投資家や全世界に分散投資せずに米国のみで十分と考える投資家が増えたのではないだろうか。
それに加えてインデックス型の米国株式ファンドはFANG+指数やNASDAQ100、さらにはSOX指数に連動するものなど商品ラインナップが充実してきていることもあげられる。6月に高パフォーマンスだったファンドをみてもアクティブ型の米国株式ファンド(青太字)に交じって、3本の異なる指数に連動するインデックス型の米国株式ファンド(赤太字)もあったくらいである【図表5】。
このことからも分かるように米国株式ファンドは従来の一律なインデックス型、多種多様なアクティブ型といった垣根がなくなってきている。例えば米ハイテク株のみに集中投資したいという投資家のニーズにもインデックス型で応えることができるようになっている。
それもあってインデックス型の米国株式ファンドは過去にテーマ型などを購入していた投資家など、より多くの投資家に買われるようになり資金流入が底上げされていると考えられる。実際に6月は米国株式ファンドへの4,200億円の資金流入のうち700億円がハイテク銘柄中心の指数に連動するものへの流入であった。
まず、何と言っても米国株式が2024年に入って好調なことである。2024年上半期のドル建ての騰落率をみても全世界指数が10%であったのに対してS&P500種株価指数は14%だった。さらにNASDAQ100は17%、FANG+指数やフィラデルフィア半導体株指数、いわゆるSOX指数にいたっては30%以上も上昇した。足元の高パフォーマンスから米国株式を改めて見直す投資家や全世界に分散投資せずに米国のみで十分と考える投資家が増えたのではないだろうか。
それに加えてインデックス型の米国株式ファンドはFANG+指数やNASDAQ100、さらにはSOX指数に連動するものなど商品ラインナップが充実してきていることもあげられる。6月に高パフォーマンスだったファンドをみてもアクティブ型の米国株式ファンド(青太字)に交じって、3本の異なる指数に連動するインデックス型の米国株式ファンド(赤太字)もあったくらいである【図表5】。
このことからも分かるように米国株式ファンドは従来の一律なインデックス型、多種多様なアクティブ型といった垣根がなくなってきている。例えば米ハイテク株のみに集中投資したいという投資家のニーズにもインデックス型で応えることができるようになっている。
それもあってインデックス型の米国株式ファンドは過去にテーマ型などを購入していた投資家など、より多くの投資家に買われるようになり資金流入が底上げされていると考えられる。実際に6月は米国株式ファンドへの4,200億円の資金流入のうち700億円がハイテク銘柄中心の指数に連動するものへの流入であった。
外国株式とバランス型以外は低調だった
6月は外国株式ファンドに加えてバランス型ファンドも売れた。バランス型ファンドに1,300億円の資金流入があり2024年に入って最大であった。バランス型ファンドへの資金流入が1,000億円を超えたのは2022年10月以来のことであった。
その一方で外国株式ファンドとバランス型ファンド以外は、一般販売しているもの限ると売却超過であった。国内株式ファンドと外国債券ファンドは資金流出に転じ、外国REITファンド、国内REITファンド、国内債券ファンドは引き続き資金流出していた。そのため、ファンド全体でみると1兆5,400億円の資金流入と5月の1兆4,600億円から800億円増加したが、外国株式ファンドが2,300億円も増えた割には小幅な増加であった。
その一方で外国株式ファンドとバランス型ファンド以外は、一般販売しているもの限ると売却超過であった。国内株式ファンドと外国債券ファンドは資金流出に転じ、外国REITファンド、国内REITファンド、国内債券ファンドは引き続き資金流出していた。そのため、ファンド全体でみると1兆5,400億円の資金流入と5月の1兆4,600億円から800億円増加したが、外国株式ファンドが2,300億円も増えた割には小幅な増加であった。
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありませんん。
(2024年07月08日「研究員の眼」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1785
経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
前山 裕亮のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/03/11 | 1月の投信爆買いの反動か?~2025年2月の投信動向~ | 前山 裕亮 | 研究員の眼 |
2025/02/12 | 成長投資枠、年初一括派が増加か?~2025年1月の投信動向~ | 前山 裕亮 | 研究員の眼 |
2025/02/07 | 新NISAは日本株式を押し上げたのか | 前山 裕亮 | 基礎研マンスリー |
2025/02/05 | 外国株式投信が非常によく売れた2024年 | 前山 裕亮 | ニッセイ年金ストラテジー |
新着記事
-
2025年03月19日
日銀短観(3月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは2ポイント低下の12と予想、トランプ関税の影響度に注目 -
2025年03月19日
孤独・孤立対策の推進で必要な手立ては?-自治体は既存の資源や仕組みの活用を、多様な場づくりに向けて民間の役割も重要に -
2025年03月19日
マンションと大規模修繕(6)-中古マンション購入時には修繕・管理情報の確認・理解が大切に -
2025年03月19日
貿易統計25年2月-関税引き上げ前の駆け込みもあり、貿易収支(季節調整値)が黒字に -
2025年03月19日
米住宅着工・許可件数(25年2月)-着工件数(前月比)は悪天候から回復し、前月から大幅増加、市場予想も上回る
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【新NISAから外れても毎月分配型~2024年6月の投信動向~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
新NISAから外れても毎月分配型~2024年6月の投信動向~のレポート Topへ