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2024年07月29日
5――運用状況の透明化にかかわる規定
1|送信防止措置の実施に関する基準等の公表・発信者に対する通知
大規模プラットフォーム事業者は、原則として6自己が定めて公表した削除基準に従う場合に限り、送信防止措置を講ずることができる(新法26条1項)。削除基準には
イ)削除される情報の種類が、大規模プラットフォーム事業者が情報の流通を知ることとなった原因の別に応じてできる限り具体的に定められていること7
ロ)役務提供停止措置の実施に関する基準ができる限り具体的に定められていること、
ハ)送信者等が容易に理解できる表現を用いていること、および、
ニ)送信防止措置の実施に関する努力義務を定める法令8との整合性に配慮されていること、である(同条2項)。
大規模プラットフォーム事業者は、概ね1年に1度、削除基準に従って送信防止措置を実施した事例などを情報の種類ごとに整理した資料を作成し、公表するよう努めなければならない(同条4項)。この公表については努力義務とされ、送信防止措置の具体的事例概要を公表するものだが、法的の義務として下記2|が定められ、全体的な措置の実施状況については義務として報告することとされている。
大規模プラットフォーム事業者は送信防止措置を講じたときは、原則として9、遅滞なく、その旨およびその理由を発信者に通知あるいは発信者が容易に知りうる措置を講じなければならない(新法27条)。
6 例外として、i)大規模プラットフォーム事業者自身が発信者であるとき、ii)法令上の義務があるとき、iii)通常予見できない種類の情報であって、緊急の必要があるとき、がある。
7 誹謗中傷、ヘイト投稿あるいは偽情報などといった情報の種類ごとに、被侵害者からの申出があった場合や、炎上などにより大規模プラットフォーム事業者が直接把握した場合などに応じて削除する基準を作成することとなろう。
8 いじめ防止対策推進法などが挙げられる。
9 例外として、i)大規模プラットフォーム事業者自身が発信者であるとき、ii)過去に同一の情報の流通を同様の理由により防止したことについて通知等を行っていたとき、である。
大規模プラットフォーム事業者は、原則として6自己が定めて公表した削除基準に従う場合に限り、送信防止措置を講ずることができる(新法26条1項)。削除基準には
イ)削除される情報の種類が、大規模プラットフォーム事業者が情報の流通を知ることとなった原因の別に応じてできる限り具体的に定められていること7
ロ)役務提供停止措置の実施に関する基準ができる限り具体的に定められていること、
ハ)送信者等が容易に理解できる表現を用いていること、および、
ニ)送信防止措置の実施に関する努力義務を定める法令8との整合性に配慮されていること、である(同条2項)。
大規模プラットフォーム事業者は、概ね1年に1度、削除基準に従って送信防止措置を実施した事例などを情報の種類ごとに整理した資料を作成し、公表するよう努めなければならない(同条4項)。この公表については努力義務とされ、送信防止措置の具体的事例概要を公表するものだが、法的の義務として下記2|が定められ、全体的な措置の実施状況については義務として報告することとされている。
大規模プラットフォーム事業者は送信防止措置を講じたときは、原則として9、遅滞なく、その旨およびその理由を発信者に通知あるいは発信者が容易に知りうる措置を講じなければならない(新法27条)。
6 例外として、i)大規模プラットフォーム事業者自身が発信者であるとき、ii)法令上の義務があるとき、iii)通常予見できない種類の情報であって、緊急の必要があるとき、がある。
7 誹謗中傷、ヘイト投稿あるいは偽情報などといった情報の種類ごとに、被侵害者からの申出があった場合や、炎上などにより大規模プラットフォーム事業者が直接把握した場合などに応じて削除する基準を作成することとなろう。
8 いじめ防止対策推進法などが挙げられる。
9 例外として、i)大規模プラットフォーム事業者自身が発信者であるとき、ii)過去に同一の情報の流通を同様の理由により防止したことについて通知等を行っていたとき、である。
2|措置の実施状況の公表
大規模プラットフォーム事業者は毎年一回、総務省令で定めるところにより、以下の事項を公表することとされている(新法28条)
(1) 新法23条(侵害情報送信防止措置を行うよう求める申出)の申出の受付の状況
(2) 新法25条(申出者への通知)の規定による通知の実施状況
(3) 新法27条(発信者に対する通知等の措置)の規定による措置の実施状況
(4) 送信防止措置の実施状況
(5) 前各号(上記(1)~(4))に掲げる事項について自ら行った評価
(6)前各号(上記(1) ~(5))以外の総務省で定める事項
大規模プラットフォーム事業者は毎年一回、総務省令で定めるところにより、以下の事項を公表することとされている(新法28条)
(1) 新法23条(侵害情報送信防止措置を行うよう求める申出)の申出の受付の状況
(2) 新法25条(申出者への通知)の規定による通知の実施状況
(3) 新法27条(発信者に対する通知等の措置)の規定による措置の実施状況
(4) 送信防止措置の実施状況
(5) 前各号(上記(1)~(4))に掲げる事項について自ら行った評価
(6)前各号(上記(1) ~(5))以外の総務省で定める事項
6――その他の規定
1|総務大臣の監督権限
総務大臣は新法の規定(具体的には22条、24条、25条、26条1項・3項、27条、28条)の施行に必要な限度において、大規模プラットフォーム事業者に対して報告を求めることができる(新法29条)。
総務大臣は、新法22条(措置申請窓口の明示・受付通知)、新法24条(侵害情報調査専門員の選任)、新法25条(申出者に対する通知)、新法26条1項、3項(削除基準に従った送信防止措置及び基準の変更)、新法27条(発信者に対する通知等の措置)、新法28条(措置の実施状況等の公表)に関して、大規模プラットフォーム事業者が違反していると認めるときは、是正措置を講ずべきことを勧告することができる(新法30条1項)。勧告を受けたにもかかわらず、大規模プラットフォーム事業者が従わなかった場合、総務大臣は措置を講ずべきこと命ずることができる(同条2項)。
総務大臣は新法の規定(具体的には22条、24条、25条、26条1項・3項、27条、28条)の施行に必要な限度において、大規模プラットフォーム事業者に対して報告を求めることができる(新法29条)。
総務大臣は、新法22条(措置申請窓口の明示・受付通知)、新法24条(侵害情報調査専門員の選任)、新法25条(申出者に対する通知)、新法26条1項、3項(削除基準に従った送信防止措置及び基準の変更)、新法27条(発信者に対する通知等の措置)、新法28条(措置の実施状況等の公表)に関して、大規模プラットフォーム事業者が違反していると認めるときは、是正措置を講ずべきことを勧告することができる(新法30条1項)。勧告を受けたにもかかわらず、大規模プラットフォーム事業者が従わなかった場合、総務大臣は措置を講ずべきこと命ずることができる(同条2項)。
2|罰則
罰則は以下の通りである。
新法30条2項(総務大臣の命令)に違反した場合は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する(新法35条)。
また、新法21条(大規模プラットフォーム事業者の届出義務)による届出をせず、または虚偽の届出をしたとき(新法36条1号)、および新法29条(総務大臣による報告徴求)による報告をせず、または虚偽の報告をしたときは、50万円以下の罰金に処する(新法36条2号)。
なお、新法35条と新法36条は届出義務者(個人)と法人の両罰規定となっている。新法35条と新法36条1項違反の場合は、法人に1億円以下の罰金、新法36条2項違反の場合は法人に50万円以下の罰金が科せられる。
罰則は以下の通りである。
新法30条2項(総務大臣の命令)に違反した場合は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する(新法35条)。
また、新法21条(大規模プラットフォーム事業者の届出義務)による届出をせず、または虚偽の届出をしたとき(新法36条1号)、および新法29条(総務大臣による報告徴求)による報告をせず、または虚偽の報告をしたときは、50万円以下の罰金に処する(新法36条2号)。
なお、新法35条と新法36条は届出義務者(個人)と法人の両罰規定となっている。新法35条と新法36条1項違反の場合は、法人に1億円以下の罰金、新法36条2項違反の場合は法人に50万円以下の罰金が科せられる。
7――おわりにかえて
誹謗中傷について直接的な削除請求権を認めない理由としては、発信者の表現の自由があるためである。たとえば政治家など公人に対する正当な批評についても誹謗中傷だとして削除することとなるようであれば、民主主義の根幹に影響を及ぼすおそれがある。
他方、ネット上の誹謗中傷によって悲惨な出来事が多発していることは、ここで述べるまでもない。
新法のポイントは申出者に申出を受け付けたことと、14日以内の回答を義務付けている。そして、体制整備として専門員を選任することや削除基準の作成・公表を義務付けていることなどである。
新法により、誹謗中傷を行う投稿の削除が円滑に行われることが期待されるものの、ネットでのマイナス情報は拡散しやすい。拡散した情報をどう対処するのかが残された大きな課題の一つと言えよう。
他方、ネット上の誹謗中傷によって悲惨な出来事が多発していることは、ここで述べるまでもない。
新法のポイントは申出者に申出を受け付けたことと、14日以内の回答を義務付けている。そして、体制整備として専門員を選任することや削除基準の作成・公表を義務付けていることなどである。
新法により、誹謗中傷を行う投稿の削除が円滑に行われることが期待されるものの、ネットでのマイナス情報は拡散しやすい。拡散した情報をどう対処するのかが残された大きな課題の一つと言えよう。
(2024年07月29日「基礎研レター」)
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経歴
- 【職歴】
1985年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
2018年4月 取締役保険研究部研究理事
2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
2024年4月より現職
【加入団体等】
東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等
【著書】
『はじめて学ぶ少額短期保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2024年02月
『Q&Aで読み解く保険業法』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2022年07月
『はじめて学ぶ生命保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2021年05月
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