2022年12月21日

デジタルプラットフォーム透明化法-透明化法はデジタル市場法になりえるのか?

保険研究部 専務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長 松澤 登

このレポートの関連カテゴリ

文字サイズ

■要旨

デジタルプラットフォーム提供者(DPF提供者)の業務慣行を開示させる特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律(透明化法)は2021年2月に施行された。その透明化法に昨今動きがあった。
 
ひとつは政令の改正により2022年8月にDPF提供者のカテゴリーが広げられ、あらたに検索あるいはSNSでの広告掲示サービスと、広告主と媒体社とをつなぐ広告仲介サービスが透明化法の適用範囲となったことである。
 
もうひとつはDPF提供者から透明化法に基づく報告を経済産業大臣が受け、評価を行うこととされていたが、今回、その評価案が示されたことである。
 
本稿では、2022年8月に政令改正が行われた後の透明化法全体の解説を行う。そして、透明化法がEUのデジタル市場法で示された問題意識にどこまで対応できるものかの検討を行う。
 
結論の要約は、DPF提供者と利用事業者との関係を規律する性格のデジタル市場法の規定にはある程度対応できているが、DPF提供者同士の関係を規律するデジタル市場法の規定には代替できないということである。

■目次

1――はじめに
2――透明化法の適用
  1|DPFの定義
  2|法施行時のDPFのカテゴリーと指定された者
  3|政令改正により新たに適用対象となったDPFカテゴリーと指定された者
  4|提供者の指定手続
3――透明化法の規律(その1)=DPF提供条件等の開示
  1|利用者に対する開示
  2|商品等提供利用者に対する開示内容
  3|一般利用者に対する開示内容
  4|特定行為を行う場合の開示
  5|経済産業大臣の勧告・命令
4――透明化法の規律(その2)=DPF提供者が講ずべき措置
  1|DPF提供者と商品等提供利用者との相互理解の促進
  2|指針の骨子
  3|措置に関する勧告
5――透明化法の規律(その3)=DPF提供者による報告書の提出、評価等
  1|DPF提供者による報告書の提出
  2|経済産業大臣の評価
6――(試論)透明化法はデジタル市場法の代替足り得るか
  1|総論
  2|適用対象
  3|行為規制(DMA5条関係)
  4|仕様規制(DMA6条関係)
  5|小括
7――おわりにかえて
Xでシェアする Facebookでシェアする

このレポートの関連カテゴリ

保険研究部   専務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長

松澤 登 (まつざわ のぼる)

研究・専門分野
保険業法・保険法|企業法務

経歴
  • 【職歴】
     1985年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
     2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
     2018年4月 取締役保険研究部研究理事
     2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
     2024年4月より現職

    【加入団体等】
     東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
     東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
     大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
     金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
     日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等

    【著書】
     『はじめて学ぶ少額短期保険』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2024年02月

     『Q&Aで読み解く保険業法』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2022年07月

     『はじめて学ぶ生命保険』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2021年05月

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【デジタルプラットフォーム透明化法-透明化法はデジタル市場法になりえるのか?】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

デジタルプラットフォーム透明化法-透明化法はデジタル市場法になりえるのか?のレポート Topへ