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- 巨大プラットフォーム企業と競争法(1)-Googleをめぐる競争法上の課題
2021年02月01日
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■要旨
GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)はデジタルの経済社会の巨大企業である。これらの企業の事業方針や事業活動が他の企業、ひいては経済全体に対する影響力は多大なものがある。そもそもこれら企業が巨大化することとなった経緯は、魅力的なサービスと企業買収など果敢な経営判断のたまものであろう。
ただ、GAFAが巨大になり、市場における独占者あるいは寡占者になったため、一般の企業では問題とならないような行為であっても、その内容によっては市場の独占を維持し、あるいは競争者を排除する行為として競争法(独占禁止法)上、問題とされるようになった。
Googleについては、一般検索サービスで支配的な地位を有している。一般検索サービスは無料であるが、検索に伴い表示される検索連動型広告により収益を上げている。Googleは、一般検索サービス、広告媒介サービスのほか、モバイル端末のOS(基本ソフト)であるAndroid、Android端末でアプリを提供するGoogle Play、YouTubeといったサービスで収益を上げている。
EU委員会からは、一般検索サービスでの自社サービスの優先的な取り扱い、Google Playに一般検索サービスの抱き合わせ、サイト内検索における検索連動型広告の優先的取り扱いの3点について競争法違反として課徴金が課された。
米国においては、司法省等の訴訟、テキサス州等の司法長官による訴訟、コロラド州等の司法長官による訴訟の大きくは3つの訴訟が進行している。これらは、一般検索サービスや運用型広告に関する市場独占にかかる違反行為を追及するものである。
日本においては、訴訟等では実効的な手段とすることが難しいと思われ、欧米で検討されている新規立法によるデジタル市場の競争確保という視点からの検討が望まれる。
■目次
1――はじめに
2――Googleのビジネスモデル
1|ビジネスモデルの全体像
2|一般検索サービス
3|Googleのその他の主なサービス
4|検索連動型広告
3――欧州委員会による対応
1|欧州委員会からの制裁金命令
2|欧州委員会による企業買収審査の実施
4――米国司法省等からの訴訟提起
1|司法省などの提訴
2|テキサス州などの提訴
3|コロラド州などの提訴
5――検討
1|市場の画定
2|反競争的・排他的な慣行といえるか
3|どのような是正措置が考えられるか
6――おわりに
GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)はデジタルの経済社会の巨大企業である。これらの企業の事業方針や事業活動が他の企業、ひいては経済全体に対する影響力は多大なものがある。そもそもこれら企業が巨大化することとなった経緯は、魅力的なサービスと企業買収など果敢な経営判断のたまものであろう。
ただ、GAFAが巨大になり、市場における独占者あるいは寡占者になったため、一般の企業では問題とならないような行為であっても、その内容によっては市場の独占を維持し、あるいは競争者を排除する行為として競争法(独占禁止法)上、問題とされるようになった。
Googleについては、一般検索サービスで支配的な地位を有している。一般検索サービスは無料であるが、検索に伴い表示される検索連動型広告により収益を上げている。Googleは、一般検索サービス、広告媒介サービスのほか、モバイル端末のOS(基本ソフト)であるAndroid、Android端末でアプリを提供するGoogle Play、YouTubeといったサービスで収益を上げている。
EU委員会からは、一般検索サービスでの自社サービスの優先的な取り扱い、Google Playに一般検索サービスの抱き合わせ、サイト内検索における検索連動型広告の優先的取り扱いの3点について競争法違反として課徴金が課された。
米国においては、司法省等の訴訟、テキサス州等の司法長官による訴訟、コロラド州等の司法長官による訴訟の大きくは3つの訴訟が進行している。これらは、一般検索サービスや運用型広告に関する市場独占にかかる違反行為を追及するものである。
日本においては、訴訟等では実効的な手段とすることが難しいと思われ、欧米で検討されている新規立法によるデジタル市場の競争確保という視点からの検討が望まれる。
■目次
1――はじめに
2――Googleのビジネスモデル
1|ビジネスモデルの全体像
2|一般検索サービス
3|Googleのその他の主なサービス
4|検索連動型広告
3――欧州委員会による対応
1|欧州委員会からの制裁金命令
2|欧州委員会による企業買収審査の実施
4――米国司法省等からの訴訟提起
1|司法省などの提訴
2|テキサス州などの提訴
3|コロラド州などの提訴
5――検討
1|市場の画定
2|反競争的・排他的な慣行といえるか
3|どのような是正措置が考えられるか
6――おわりに
(2021年02月01日「基礎研レポート」)
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経歴
- 【職歴】
1985年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
2018年4月 取締役保険研究部研究理事
2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
2024年4月 専務取締役保険研究部研究理事
2025年4月 取締役保険研究部研究理事
2025年7月より現職
【加入団体等】
東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等
【著書】
『はじめて学ぶ少額短期保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2024年02月
『Q&Aで読み解く保険業法』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2022年07月
『はじめて学ぶ生命保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2021年05月
松澤 登のレポート
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【巨大プラットフォーム企業と競争法(1)-Googleをめぐる競争法上の課題】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
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