2024年06月21日

米住宅着工・許可件数(24年5月)-着工・許可件数ともに前月、市場予想を下回る

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:住宅着工、許可件数ともに市場予想を下回る

6月20日、米国センサス局は5月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は127.7万件(前月改定値:135.2万件)と136.0万件から下方修正された前月を下回ったほか、市場予想の137.0万件(Bloomberg集計の中央値)も下回った(図表1、図表3)。

先行指標である着工許可件数(季節調整済、年率)は138.6万件(前月:144.0万件)とこちらも前月、市場予想の145.0万件を下回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:住宅ローン金利の高止まりが住宅市場を軟化させている可能性

住宅着工件数の伸びは前月比▲5.5%(前月:+4.1%)と前月からマイナスに転じた(図表3)。戸建てが▲5.2%(前月:▲0.5%)と3ヵ月連続でマイナスとなったほか、集合住宅が▲6.6%(前月:+22.5%)と前月からマイナスに転じて着工件数を押し下げた(図表4)。

前年同月比は▲19.3%(前月:▲1.2%)と3ヵ月連続のマイナスとなったほか、マイナス幅が拡大した。内訳をみると、集合住宅が▲49.5%(前月:▲35.8%)と5ヵ月連続で2桁のマイナスとなったほか、戸建てが▲1.7%(前月:+18.3%)と23年6月以来のマイナスとなって全体を押し下げた。

地域別寄与度(前月比)は、西部が+2.2%ポイント(前月:▲2.2%ポイント)と5ヵ月ぶりにプラスに転じた。一方、中西部が▲2.6%ポイント(前月:+2.3%ポイント)、南部が▲5.0%ポイント(前月:+5.3%ポイント)と前月からマイナスに転じたほか、北東部が▲0.1%ポイント(前月:▲1.3%ポイント)と4ヵ月連続のマイナスとなった。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比が▲3.8%(前月:▲3.0%)と3ヵ月連続のマイナスとなった(図表5)。戸建てが▲2.9%(前月:▲0.7%)と4ヵ月連続のマイナスとなったほか、集合住宅も▲5.6%(前月:▲7.6%)と3ヵ月連続のマイナスとなった(図表6)。

前年同月比は▲9.5%(前月:▲2.0%)と4ヵ月連続のマイナスとなった。戸建てが+3.4%(前月:+11.5%)と12ヵ月連続のプラスを維持した一方、集合住宅が▲28.8%(前月:▲22.1%)と、こちらは9ヵ月連続で2桁のマイナスとなって全体を押し下げた。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅市場指数(項目別) 一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、6月が43(前月:45)と改善を見込んだ市場予想(46)に反して2ヵ月連続で低下した(図表7)。

内訳は販売現況が48(前月:51)、販売見込みが47(前月:51)、客足が28(前月:30)とそれぞれ前月から悪化した。

NAHBのカール・ハリス会長は「住宅ローン金利が高止まりしているため、多くの購入希望者が購入をためらっている」と述べ、住宅ローン金利の高止まりが住宅需要を低下させた可能性を示唆した。さらに、同氏は「住宅建設業者は、建設・開発ローンの金利上昇、慢性的な労働力不足、建築可能な土地の不足にも対処している」と新築住宅販売市場を取り巻く環境が厳しいことを示した。
 
 

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(2024年06月21日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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