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脱炭素と株主資本コスト-カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みに対する評価
金融研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・ESG推進室兼任 高岡 和佳子
本稿では、グリーン成長戦略において重要な役割を担う大手電力会社を対象に、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みと投資家による評価の関係性の評価を試みた。
株主資本コストを投資家による評価の尺度として用い、近年の株主資本コストの変化と各社のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みとの間の関係性を確認した結果、統計的に有意な関係性があることを確認した。また、長期的な取り組みの方が短期的な成果より統計的な有意性が高いだけでなく、将来に向けての目標の高さも、短期的な成果より統計的な有意性が高いことがわかった。
多くの人がカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが必要だと考えている状況において、グリーン成長戦略において重要な役割を担う電力業界に対する期待の表れであろう。短期的に成果を上げる必要はないが、目標に向けた着実な取り組みに期待したい。
■目次
1――はじめに
1|カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み
2|研究の目的と流れ
2――株主資本コストの推計方法
1|CAPMに基づく株主資本コスト
2|残余利益モデルに基づく株主資本コスト
3|当研究における株主資本コストの推計方法
3――個社別推計株主資本コストの上昇と取組の分析
1|分析の概要
2|分析結果
4――最後に
03-3512-1851
- 【職歴】
1999年 日本生命保険相互会社入社
2006年 ニッセイ基礎研究所へ
2017年4月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
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