2024年02月13日

企業物価指数2024年1月~前年比上昇率は横ばい圏の推移が続く~

経済研究部 研究員 安田 拓斗

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1.国内企業物価指数(前年比)は横ばい圏で推移

企業物価指数の推移 日本銀行が2月13日に発表した企業物価指数によると、2024年1月の国内企業物価は、前年比0.2%(12月:同0.2%)となった。

内訳をみると23類別中、16類別が上昇、7類別が低下となった。電力・都市ガス・水道は政府による電気・都市ガス価格激変緩和対策により前年比▲27.7%(12月:同▲27.6%)と、7ヵ月連続でマイナスとなり全体を押し下げた。鉄鋼も前年比▲3.3%(12月:同▲3.4%)と4ヵ月連続のマイナスとなった。一方、食料は前年比4.4%(12月:同4.5%)、非鉄金属は同3.2%(12月:同4.4%)とプラスとなっている。
1月の国内企業物価の前月比は0.0%(12月:同0.3%)と横ばいとなった。内訳をみると23類別中、15類別が上昇、1類別が横ばい、7類別が低下となった。電力・都市ガス・水道は事業用電力、都市ガスなどの品目が上昇し前月比0.6%(12月:同▲0.1%)、電気機器は同0.5%(12月:同▲0.4%)といずれもプラスに転じ、全体を押し上げた。一方、農林水産物は前月比▲3.0%(12月:同0.7%)、石油・石炭製品は同▲1.0%(12月:同3.7%)といずれもマイナスに転じた。
国内企業物価指数の推移/国内企業物価指数の前月比寄与度分解

2.契約通貨ベースの輸入物価(前月比)は再び低下

輸入物価指数変化率の要因分解(契約通貨ベース) 輸入物価は、契約通貨ベースでは前月比▲1.1%(12月:同0.1%)と5か月ぶりにマイナスに転じた。内訳をみると、10類別中3類別で上昇、1類別で横ばい、6類別で低下となった。石油・石炭・天然ガスは原油、一般炭、ジェット燃料油などの品目が低下したことで、前月比▲3.2%(12月:同▲0.7%)と2ヵ月連続でマイナスとなった。化学製品は前月比▲0.7%(12月:同0.8%)と2ヵ月ぶりにマイナスに転じた。

契約通貨ベースの前年比では、▲8.8%(12月:同▲9.4%)と10ヵ月連続のマイナスとなったが、マイナス幅は4ヵ月連続で縮小している。

円相場(対ドル)は前月比1.7%と2ヵ月ぶりにプラスに転じたことで、輸入物価は円ベースで同0.2%(12月:同▲3.0%)と2ヵ月ぶりにプラスとなった。円ベースの前年比は▲0.2%(12月:▲4.9%)と10ヵ月連続でマイナスとなったが、マイナス幅は4ヵ月連続で縮小した。

3.国内企業物価指数の前年比上昇率は横ばい圏が続く

国内企業物価指数の前年比寄与度分解 国内企業物価の前年比上昇率の鈍化は、政府の激変緩和策によって電力・都市ガス・水道が引き下げられたことが一因だったが、同政策は2023年2月より開始されたため、来月以降はその効果が剥落していく。しかし、前年の高い伸びの裏がでることなどから、国内企業物価の前年比上昇率は、当面は横ばい圏での推移が続くだろう。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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経済研究部   研究員

安田 拓斗 (やすだ たくと)

研究・専門分野
日本経済

経歴
  • 【職歴】
     2021年4月  日本生命保険相互会社入社
     2021年11月 ニッセイ基礎研究所へ

(2024年02月13日「経済・金融フラッシュ」)

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